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 夏の極光 (Collabo作品)



七タコラボ星に願いをの、1年後のワンシーンです。

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丘陵地に構えられた天聖城の郭内に、僕を乗せ
風のように飛び込む白馬は、聖帝から貰った愛馬だ。

「ふ、吹雪殿……っ!そんな速度で走らせては何かの拍子に落馬した時一貫の終わりですぞっ!お気をつけ下さいっ」

宮廷から慌てふためき転がり出てくる船木さんに
馬からふわりと降り立った僕は、首を傾げて
「はぁい」と微笑む。

そして馬を預けると、急ぎ足で御殿へと駆け込んだ。


「ああ、吹雪さんお帰りなさい。丁度食事の仕度ができてますよ」

「あ、うん。ありがとう……」

キョロキョロと部屋の中を見渡しながら生返事をする僕を見て、虎丸くんがクスッと笑う。

「豪炎寺さんなら間もなくおみえになりますよ。今巡幸から戻られお召し換えを…」

その言葉が終わらないうちに、僕はぱあっと輝かせて駆け出した。

「豪炎寺くんっ」
「おっと………お転婆な姫君のお帰りか」

飛びつく僕を軽々と抱きとめて答える声、そして目を合わせて撫でるように下までなぞられた視線がじわりと全身と心にしみる。

「も〜、お転婆でも姫でもないよ」
「これは失礼、天氷国の皇帝殿いやこの国ではお后様か――」

「ふふ……ぜんぶちがいます。今の僕は豪炎寺修也の妻、吹雪士郎……なんだから」

「………そうか」

人目も憚らずに広間の中央で抱き合って、キスを交わす僕らを見かねて虎丸くんが「おっ……落ち着いたらちゃんと食事をして下さいよっ」と逃げるように立ち去る。


「…逢いたかったぞ」
「僕も……毎晩君のこと夢に見てたよ」

結婚二年目にして一層仲睦まじい僕らは、半月ぶりに二人一緒の食卓についた。

「僕の国も……農地の開拓もずいぶん進んだよ。それに…蚕や牛もたくさん送ってくれてありがとう」

「ああ」

彼は僕の夫でもあり同盟国の頼れる君主で、天氷国の再建に手厚く協力してくれていた。

半月の間天聖国(ここ)を離れて天氷国で執務することも快く理解してくれて……でも…その間淋しかったのは申し出た僕のほうだったんだけど。

食事の間も、会えなかったとき君にしたかった話が次々に溢れてきて、中々箸が進まなくて。

それに、ひとつひとつに頷きながら親身になって聞いてくれている君の深い色の眸は、優しさをたたえながらもどこか燃えるような熱を帯びていて
何だか僕をそわそわさせる……。


「ごちそうさま…」

「もういいのか?少食だな」

「うん…………胸がいっぱいで」

「そうか」

豪炎寺くんはあっさり頷く。

普段の彼なら “もう少し食べたらどうだ" とか心配げに言いそうなものなのに。

「行こう」

箸を置くのを待ちかねていたかのように立ち上がる彼のあとに……僕も慌てて続く。



「あ……」

寝殿に連れ込まれたとたんに、立ち込めている "あの香り"に感覚を艶かしく包みこまれて
どきりとした僕は小さく息を呑む。

「長旅……疲れただろう」

後ろに立っている豪炎寺くんが僕の腰に手を添えて寝台へと導き、彼が求めるものが何なのかありありと伝わってしまう僕は、ときめきと羞恥で顔を上げられない。


「これは……新しく織ったものだな」

背中から抱きしめられ、うなじを湿った唇に吸われて震える僕の肌から、豪炎寺くんは薄絹を優しく剥ぐ。

「極光の彩紗……って、僕の国では呼ばれて…」

「極光……?」

服を脱いで……とその声で耳許をなぞられると
魔法にかかったように従ってしまい、夢中で纏うものすべてをはらはらと床に散らす僕。

それを見届けた豪炎寺くんは目を細め、ロ角を上げて「絶世の美しさだ」と呟く。


全裸の僕を極光の紗で包みゆっくりと抱きよせて、唇を重ねて。

吸い付く音をたてながら顎から首筋をたどり、焦らすように胸の尖端を転がして「触れてないのに…こんなになって」と失笑しながら熱い舌が包む。

「ぁふ……も…………やっ」

「極光とは……この紗のように青いのか?」

がくがくと震える膝裏を持ち上げられ寝台に仰向けに倒された身体の上に帝の装束の重みがゆっくりとのしかかる。

「北の最果てへ訪ねたという者によれば、夜空に浮かぶ青みがかった玉虫色の天蓋のように揺らめいているんだって………」

ぐいっと開かれた脚の内腿に熱い彼の昂りが当たっていて……胸がはちきれそうに高鳴る。


今日は七月七日。

一年前、天の川を隔てて分断されていた時には
年に一度の逢瀬を許されたのがこの日の晩だった。

今思い起こせば気が遠くなる。
僅か半月でも、こんなに恋しいのに―――。


「その紗の彩や艶……抜けるようなお前の肌によく似合う…」
「あ………っ……はぅ…っ…………」

僕の下肢の付け根に伸びた君の手に、甘い刺激を次々と送り込まれて息つく暇もなくて。

「そしてこのきめ細やかで精巧で柔らかい感触は天下にならびなき逸品……」

ああ、もう、どっちのことを言われているのだろう。

鳩尾から下腹へと這う舌にもて遊ばれるように、僕の身体が紗の衣擦れの音とともに波打って乱れる。

身体中を愛撫する唇が奏でる湿った音に、鼓膜まで痺れているみたい。
どこを触られてもビリビリと甘い痛みが走るのに止めて貰えないし、止めてほしくない。そして


「ぁっ……」

中心部を甘く、強く刺激されながら
少し急ぎ気味の彼の熱が、すでに溶けだした蕾から内を拡げて沈んでいくのを、快感とともに受け容れていく。

そのとき僕は、幸せに呑まれるような不思議な宙を揺らめいて、漂うのだった。

全身全霊で君を感じながら―――




星に願いを〜夏の極光 * 完


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