突然のラブメール


今日も一日が終わったとベッドに寝そべる名前は、日課である読書の本を開いた。
寝る前の数十分。ついのめり込んで徹夜してしまうこともしばしば。
途中で寝落ちしてしまって、どこまで読んだかわからなくなるときもある。

そんなとき、枕元に置いてあった携帯が着信を知らせた。
こんな時間にと思うが、時計を見てみればまだ寝るのには少し早い時間。
名前は読書をするのに早めに布団に入ったのだ。

「誰からだろう?」

本の続きが気になりながらも携帯を手に取った。
名前は画面をタップしメール画面を開く。しかし名前の欄はアドレスになっている。
登録されていないアドレス。名前の知らない人からのメールだった。
アド変かなと何の疑いもなくそれを開いた名前は、次の瞬間その文字に目を疑った。

『ずっと前からあなたのことが好きです』

一文で短い愛の告白だった。
名前は思わず起き上がってベッドの上に正座する。
いきなりの告白にまず驚き、次に誰が送ってきたのかを考え、どうして自分のアドレスを知っているのかと首を傾げた。
当然、考えてもすぐにはわからない。

「ど、どうしよう…」

返事はできない。だからといって「どなたですか?」と聞くのも恥ずかしい。
しかし返事をしないと相手に悪いのだ。せっかく気持ちを伝えてくれたのだから、それなりに返したい。
名前は困ったように携帯を枕の上に置いた。
画面に並ぶ短い文字が名前のことをじっと見ていた。





鳴り響くアラームの音。いつの間にか朝になって、名前はそのうるさい音を止めた。

「結局眠れなかった……」

布団から顔を出した名前は疲れたような声で起き上がった。
昨日はそのままメールのことで頭がいっぱいになり、読書をするどころか眠ることすらできなかったのだ。
いつものように身支度を整え仕事に向かう。
頭には相変わらずあの言葉がぐるぐると回っていた。

「おはようございます…」
「おはようございます。どうしました?疲れているようですが」
「本を読んでたら朝になっていまして…」

またですか、と鬼灯は呆れたように呟いた。
たった一文が気になって眠れなかったなど言えるはずもない。
名前はピシャリと頬を叩くと目を覚ました。こういうのは仕事をして忘れるに限る。


「ダメだ。気になる…」

しかし都合よく忘れてくれるわけもなく、仕事も手につかずに上の空。
どうしたらいいかわからない。誰なのか気になる。
名前は思考を巡らせ、携帯片手に部屋を出た。

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