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「さあ上の服だけじゃなくて全部脱いで」
「お帰りくださいこのやろう」
椅子に座り、にこにこと笑顔で俺に脱衣しろと促すイケメンをギロリと睨みながら指を立てる。
「いけないなあ、先生にそういう態度でいちゃあ。お仕置きされたいのかな?」
「されたいわけねえだろ!大体なんであんたがここにいるんだ!俺の学校の健康診断に!」
「え、呼ばれたから?」
さらりと何言ってんのと言いたげに答える先生に頭が痛くなる。
お互いの想いを告げあったあの日。先生は、自分は元々ここの医者ではないことを話してくれた。ここの先生は、大学の時にお世話になった先生で今でも大変かわいがってもらっているのだと。そして、たまたま恩師の先生が急遽学会に出るために病院を空けなくてはならず、加藤先生がその日の代理を頼まれたのだと。
それでも俺が入院している間あの病院にいたのは、自分の学会での研究発表の為の前例の資料がその病院にあったからしばらく滞在していたわけで、その間はあの一日に受け持った患者さんは全てきちんと定期的に見回りしていたそうだ。
そんで、冒頭のやり取りの理由なんだけど。
先生は、俺が退院すると同じ日に自分も自分の病院へ戻る手はずになっていたらしい。なんと、加藤先生はおれんちから徒歩10分のところに新しくできる予定だった個人病院の先生だったんだ。
しかも、
「内科検診に呼んだ医者がなんでよりによってあんたなんだああ!」
今日は学校の内科検診の日で、順番に名前を呼ばれ入った先にいるのがまさか加藤先生だとは思わなかったわけで。
「ただの学校行事だよ。なにをそんなに嫌がるんだい」
「…だって!」
不思議そうに首を傾げられ、真っ赤になってうつむく。そりゃそうだ、先生からしたらただの仕事で来てるだけのここに俺がいたからって、なんでここまで嫌がるんだろうかと不思議だろう。だけど、俺からしたら一大事なわけで。
それにはちゃんと理由があって。
もごもごと言いよどんでいたら不思議そうな顔から一転、俺がそれに弱いと知っていながら先生は子犬のように見つめてきた。
「―――ああもう!悲しそうに眉をよせんなよ!わかった、言うよ!その代わり引くなよ!」
なかばヤケクソ気味に俺は覚悟を決めた。
「…あ、あんたの、白衣姿、かっこいいから…。他の奴らに見られんのがやなんだよ!そ、それに、学校行事ってわかってるけど、なんだかイケナイことしてるような、って、おい!」
「赤川君!なんてかわいいんだ君は!やきもちも最高だけど、イケナイ事って…!ごっこプレイしてるような気分になっちゃったのかな?」
「ばっ…!や、ん!」
話の途中でぎゅうと抱き込まれ、挙げ句にシャツの中に手を入れられて乳首をきゅっと摘まれて変な声が出た。慌てて口を押さえると抵抗する両手がなくなったのをいいことに先ほどまで片方だった手を両方服の中に入れ、両の乳首を弄りだす。
「んっ、や、やめ…っ、あ、ん!」
ここ、学校!と怒ろうと顔を上げるとちゅ、と軽くキスをされ、するりと服の中から両手を抜いた。
「あ…?」
ふいに快感がなくなって、若干とろけてしまった目で先生を見るとものすごく意地悪そうな顔をして笑っていた。
「さ、検診をしないとね。次の生徒が待ってるよ?」
わざと軽く火をつけて生殺しにされたとわかってじろりと睨むけど、
「…続きは、帰ってから私の家でね。特製のお注射、してあげる。」
耳元で甘く低い声で囁かれ、先ほどまで弄られていた体がずくんとうずく。
ああ、俺ってば重症だ。
悔しくなって、目の前で意地悪く笑う先生に、仕返しのつもりで自分から軽くキスをしかけると先生が大きく目を見開いて固まった。ざまあみろ。
「…ちゃんと、治療しろよ。」
俺の恋の病には、あんたっていう処方箋しか効かないんだからな。
その後家に帰ってから、白衣を着た先生に診察台の上でイヤってほど注射されたのはいうまでもない。
なにをって?
「もう一本差し上げましょうか?ほら、ちゃんと足を上げて?」
「やあ、いらな…!」
――――察して下さい。
end
→あとがき
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