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4

柴島side


かわいい、かわいい。


一目見た時からもう夢中だった。話しかけられるとやたらおどおどびくびくとして、ぷくぷくしたほっぺは常に真っ赤で。ご飯を食べてる時なんかまるでハムスターだ。ほほいっぱいにもぎゅもぎゅと詰め込んで食べるから、ぷっくりほっぺがさらにぷっくり。

ああ、つつきたい。むにむにしたい。

同じクラスの、千代田藤次。ぽっちゃり気味の彼はそれがコンプレックスなのか自分から人に話しかけることはめったにない。いつも自分の席で大人しく漫画を読んだり、ゲームをしたり。たまにくる他のクラスの友人と話すとき、ちょっと楽しそうに目がキラキラするところなんてほんとに小動物みたいだ。
俺は同じクラスになってから、ずっと千代田を見てた。そのちょこちょこした動作とかがすごくかわいくて。
俺、めっちゃもてるのになんでこんなにこいつがいいんだろうって自分でも不思議に思うくらいもう千代田が好きで好きで仕方なかった。


ある日、我慢できなくなった俺は手紙で呼び出して千代田に告白。でも、やっぱりと言うかなんというか、千代田にお断りされちゃって。それでもどうしても誰かになんて渡したくなくて、粘って粘って『お友達から』に納得してもらった。
お友達として千代田の傍にいる権利を得た俺はそれはもう千代田をかわいがったよ?何よりも優先したし、常に側にいて。

お友達から始めた俺たちだけど、千代田が俺に心を許してくれたのか1ヶ月ほどたつと俺を見てちょっと嬉しそうな顔をするようになった。そのときの真っ赤な顔がすごくかわいくて。 俺が話しても、千代田が相槌をうつだけだけど、その時だってほっぺはほんのりピンク色。そんで、俺に女の子たちが寄ってくるとちょっと悲しそうな顔をするようになった。

そんな顔されるとさ、もしかして好きになってくれたのかなって思うじゃん?ほっぺが赤いのは照れてるんだよね。ああ、かわいいなあ。
そして調子に乗った俺はちょっとだけ、ほんのちょっとだけ千代田の気持ちを試してみようと思った。
今まで誰に誘われてもきちんとお断りだけしていたけど、そこにちょっとだけリップサービスをしてやる。気のある素振り、ってやつ?俺の事を好きになってくれてるなら、悲しい顔するはずだよな?


予想通り千代田は俺のそれを聞いて目を丸くした後ちょっと泣きそうな顔になった。うわ、やばい、嬉しい!俺は嬉々として千代田の傍により、笑顔で帰ろうと声を掛ける。

「あ、えと、…い、いいの?女の子たち…」
「俺は千代田といたいから。わかってるくせにひどいなあ」

そういうと千代田は眉を下げて頬を染める。俺に寄ってくる女の子たちに嫉妬してるんだ。その様子がすごくかわいかった。

俺はそれからもずっと女の子たちに愛想を振りまきながら、絶対に千代田を優先させる。女の子たちに行くと見せかけて、千代田の所に行く。やきもきさせるけど、千代田が特別なんだよって思わせる俺の態度に、千代田は喜んでるだろうな。だから早く俺をもっと好きになって。



その表情が、全く別の意味を持っているなんて少しも思いもしなかった。俺は、ただの勘違いの自己中野郎だったんだ。

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