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それから俺は、前にもまして校内のかわいこちゃんに声をかけるようになった。
手当たり次第、場所だってあんまり選ばない。
とにかくどこでも誰とでも体を繋げる。
その度にルイくんは必死になって追いかけてくるし、怒られるしなんだけど俺はルイくんの言うことなんかひとつも聞かなかった。
「栄さま、だめだって言ったでしょう!」
「はいはい、は〜い」
怒るルイくんを適当にいなし、その矢先に違う子に声をかける。
ルイくんがすごく困っているような顔をして、もっと困ればいいんだって思う。
一ヶ月くらいが過ぎても俺はかわいこちゃんを誘うのをやめなかった。ルイくんは飽きもせずそんなことばっかり繰り返す俺に怒る。
今日もせっかく捕まえたかわいこちゃんを逃がされちゃって、はいはいって適当に流してるとルイくんの携帯がなった。
だけど、着信を見たルイくんは電話に出ようとせずにすぐにポケットにしまった。それを見てぴんときたんだ。
きっとそれ、会長だ。
「…出ないの?」
「はい。今はそれより栄さまのことです」
「…まだ誘われてるの?」
「…そんなことよりも、栄さま!あれほど淫らな生活はお止めくださいと言っているのにまた違う子に手を出したでしょう!」
俺の問いかけには返事しなかった。無言は肯定だよね。
会長よりも俺の事って言っても、ルイくんは俺のやってることを怒ってるから俺の事を優先してるだけだよね。それって、俺の方が大事だからとかじゃないってことだよね。
「いいよ、出なよ。俺なんかのこと、気にしないでそっち優先すればいいのに。毎回毎回、面倒臭いんだよね。あ〜あ、前の子だったらそんなことなかったのになあ」
「…!」
前の隊長だったら、会長なんかに誘われたりしなかったのに。
そんな意味を込めて言った言葉にルイくんはおっきなお目目をもっと大きくさせていた。だけど、ルイくんの顔をはっきり見るのがなんだかイヤでそのままルイくんをほっといて生徒会室に帰った。
それが間違いだったなんて気付かずに。
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