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「今日の予定は以上です。何かご質問はありますか?」
「ううん、ないよぉ」
「ではまたお昼に伺います」
失礼します、とぺこりと頭を下げて生徒会室を出ていくルイくん。扉がしまると同時に俺は大きくため息をついてぐでんと机の上に倒れこんだ。
「ふふ、あなたでも緊張したりするんですねえ」
「ええ〜?ひどいよ副会長〜、俺ちゃん、すごい繊細なんだよ?」
「繊細なやつがとっかえひっかえ男を漁るか」
「会長わかってなぁい、繊細だから誰かと触れあっていたいんですう」
ルイくんとのいつものやり取りを見て楽しそうにからかってくるのは同じ生徒会の会長と副会長。この二人は隊長がルイくんに代わってからの俺の様子をいつもいつも楽しそうにこうやってイジってくる。
そりゃあね?ひどいときはここの仮眠室に男の子連れ込んでヤってたりしたからね?
完全に首輪をつけられてるななんて言われてくやしいったらありゃしない。
「もう、ルイくん厳しすぎるよ〜。おれ、籠に入れられた鳥みたい…ちゅんちゅん」
「そんなに嫌なら解雇すりゃいいじゃねえか。お前の親衛隊なんだろ?」
「えっ?あ、うん…いや…」
なんだろ?解雇ってあれだよね、ルイくんに隊長をやめさせるってことだよね?
「ですね。あなたにはその権利がありますし、あなたが嫌だと思うならそうするのもいいんじゃないですか?」
「え〜…」
ルイくんが隊長さんじゃなくなると、怒られることがなくなるから確かに楽だよね。でも、でも…
「おう、そうしろ。そしたら俺があいつもらうから」
「えっ!?」
「あいつ、意外にしっかりしてるしな。なによりかわいい顔してるし俺の好みだ」
「だ、だめ!」
がたん!と立ち上がって却下すれば、二人ともちょっと驚いたような顔をした。
「なんでだよ?嫌なんだろあいつ」
「や、だって」
「そうですよ。あの子がいなくなればあなたはまた自由に遊び放題でしょう」
「か、会長、ルイくん隊長さんだと会長も遊べなくなるよ、いいの?」
「ああ、かまわんさ。あいつが俺のもんになるなら遊びなんてやめてやるよ。それくらいの価値はある」
「…!」
にっと笑った会長は物凄くかっこよくて、ひどく焦った。
会長、そんなにルイくん気に入ってたんだ。
「だ、だめだよ、い、一応あのこ俺の親衛隊の隊長さんとして頑張ってるしね?あっ、お、おれ、先生に呼ばれてたんだった〜!」
しどろもどろに断って、突っ込まれないうちにわざと席を立つ。後ろ手に閉めた扉の向こうで、会長がわらっていたなんて気付かなかった。
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