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7

それからも俺は、同じ事を繰り返していた。先輩は縋ったりはしなかったけど、その悲しそうな顔は本当にたまらなくて。
先輩の前でほかの奴といちゃつく回数もどんどん増えていった。

そんなある日、俺は放課後に先輩の所に行こうと人気のない廊下を歩いていたら急に後ろから呼び止められた。
振り返ると、そこにいたのは一番最初に先輩を嫉妬させるために図書室に連れて行ったクラスメイトがいた。

「なに?」
「あの、その、もうわかってると思うんだけどっ…」

そいつが俺のことをどう思っているかは知っている。なんせ、あれから結構利用させてもらってたから。もじもじしてるところを見るといよいよ告白しにきたかって思った。
と、同時に、少し先の階段の所に先輩が一瞬姿を現して隠れたのが見えた。きっと、俺を迎えに来てたんだろう。

「ぼ、僕、池上君のことが好きなんだ。」
「悪いけど、恋人一応いるからさ。」
「し、知ってる。あの…一回だけでいいから、キス、して欲しい。それで、諦めるから…」

キス、と言われて一瞬初めて先輩とキスをしたときの事を思い出した。そういえば、今までの恋人たちの前ではヤキモチを妬かせるためにキスくらいほかの奴といくらでもしてた。でも、先輩の前で俺はキスはしたことがない。
いや、キスだけじゃない。嫉妬させるためには浮気なんていくらでもしていたのに、先輩の前ではせいぜい軽くいちゃついているように見えるボディタッチやふざけあい、優しいだけと捉えられるような会話ぐらいだ。


…おかしいな。俺は、恋人が俺に必死に縋ってる姿に一番グッとくるはずなのに。俺に対して独占欲丸出しで怒ったり泣いたりする顔が最高に好きなのに。


なあ、先輩。せっかくだからさ、今ここで見せてよ。俺の優越感を満たして、最高に気持ちよくさせてよ。俺の優越感を満たしてくれるあんたをもっと好きになるからさ。


「―――いいよ」


先輩がちらりとこちらを覗いているのを確認した俺は、にこりと微笑んでそいつにキスをしてやった。

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