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4

俺は先輩を連れて町にでると、色んな所へ付き合わせた。自分がよく行くセレクトショップや、ゲームセンター。オシャレなカフェ。

どこも初めてなのか、先輩はキョロキョロと周りを落ち着かないように見回している。俺は先輩が不安なのに気付いて、先輩を守るかのようにぴたりとくっついてやって安心感を与えてやった。そこでちょっとだけ意地悪をして気付かない振りして少しだけ離れると、俺とはぐれないようにと必死になって付いて来る。

その様子がすごく面白くて。こんな新鮮な反応する子、初めてで。俺は先輩のそんな行動にすごく優越感を感じた。



一通り遊び終わり帰路につく中、先輩と俺は無言で歩く。先輩と俺との間に、ほんの少しの距離が開いてる。今まで俺が落としてきた奴らは、皆俺の隣にぴたりとくっついて腕を組んだりしてきたもんなんだけど。先輩はそんなやつらとは違って、並んで歩くのもどこか遠慮がちに下手すると一歩下がってついてこようとする。

そんな所も、すごく新鮮。

「先輩、今日はありがと。お礼とか言って、結局振り回しちゃってごめんね。疲れた?」
「う、ううん。大丈夫。初めて行ったところばかりだから緊張したけど、楽しかったよ。ありがとう。…でも、俺の方こそごめんね。俺みたいなのといても、君が楽しくなかったんじゃない?」

申し訳無さそうに眉を下げる先輩の顔に、欲望が頭をもたげる。

…この人、平凡なくせにいちいち表情や行動がすげえイイ。



笑顔がみたい。慌てる顔がみたい。困ってる顔がみたい。照れてる顔がみたい。

……泣かせたい。

先輩に対する欲がピークに達した時、俺は先輩を路地に連れ込み、壁に押し付けて両手を顔の横につけ逃げられないように閉じ込めた。


「な、なに…」


急な俺の行動に、先輩がひどく驚いて怯えた顔をする。
ああ、そんな顔もすげえイイ。

「…先輩…、急に何言ってんだ、って思うかもしんないけど…、俺、先輩が好きだ…」

俺は、狙った奴を100%落としてきた色気を含むと言われる憂いの表情で先輩に告白した。
突然そんなことを言われて先輩が、これ以上ないってほど目を見開き俺を見つめる。

「そ、な…、だって、俺、男…」

驚いた。全寮制のあんな学園にいながら、そんな言葉をはくなんて。もしかして、先輩ノーマルかな?

「関係ないよ。俺、先輩だから好きになったんだ。よかったら、付き合ってほしい…。男同士って、偏見ある?どうしてもだめ?」

子犬のような顔をすれば、先輩は慌てて首を振る。

「ち、ちが…!お、俺の友達も、そんな奴ら多いし偏見なんてない!で、でも、俺、付き合うとかしたことないし、き、君はすごくカッコ良くて、俺みたいなの釣り合うはずないし、もっとかわいい子が…」

この様子だと満更でもなさそうだな。もう一押しか。
俺は真っ赤になって俯いてしどろもどろに言い訳をする先輩の肩に頭をうずめた。びくりと先輩の体が硬直するのがわかる。

「…先輩じゃないと、だめなんだ。お願い…。」

うんと切ない声を出してそう呟けば、先輩が声を出さずに小さく頷いたのがわかった。



真っ赤な顔をして俯く先輩を、そっと抱きしめる。恐る恐る腕を俺の背中に回す先輩に、俺は口角が上がるのを抑えられなかった。
体が高揚して鼓動が速くなっているのが自分でもわかる。
その時の俺は、ものすごくおもしろい新しい玩具を手に入れた子供の気分だった。


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