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6

その笑みを見た瞬間、二人は一瞬にして固まった。


え、なに。なんなのその顔。お義父さん、なんですか?


二人が固まると同時に、その方に置かれた手にギリギリと力が込められていきみしみしと音を立てはじめる。



「あの二人を変えてくれたことには、感謝してるがなあ…?お前ら…お前ら、おれのかわいいりーたんとしーたんをよくもよくも手籠めにしてくれたなあ…?久しぶりの電話で、かわいいお声が聞けたかと思えば『大事な人ができた』だとお…!?俺の…俺の天使ちゃんたちによくもよくも、そんな風に思われやがって…!許せねえ…!」



ひいいいいい!嫉妬だ!嫉妬に狂う鬼がいる!


「て、手ごめにはまだしてません!」
「お、俺も触るぐらいしか…!あ」
「きいぃさあああまああああ!!??」


思わず今後の予定とちょっとだけ先に進んでいることを暴露してしまった二人は慌てて口を閉じぶんぶんと頭を振る。


「なんだ今の返事はああああ!!??まさか、まさか俺の天使ちゃんたちををを!!」


ギリギリと腕の力と共につり上がっていく紫堂の目に二人は真っ青になってガクブル状態だった。



まじ怖え!さすが紫音ちゃんのお父さん!つかあなた、愛情重すぎやしませんか!



心で散々訴えるもその言葉が口から出ることはない。それは克也も同じく、ただただなされるがままである。目の前の鬼からどうやって逃げようかと考えたその時、




「あ!パパ!お庭で何してるの?」


ひょこり、という擬音がピッタリなくらいの仕草で梨音が現れた。

「なんでもないよ〜!仲良くなろうとスキンシップしてただけだよお〜。なあ、克也君…?」
「は、はい…」

にこりと決して笑ってはいない目を向えられ顔を青くしながら克也が返事をする。それに少し不思議そうに首を傾げる梨音に紫堂が『りおたんかわゆす!』と言って飛びついた。



「あのね、ママが晩御飯も一緒に食べようって。いいでしょう?」

紫堂の服をきゅっと掴み、くりんと目を向けお願い、とことりと首を傾ける梨音に紫堂はでれでれと目尻を下げながら梨音をなでくり回した。

「ん〜、パパはいいけどお二人のご両親、待ってらっしゃるんじゃないのか?」
「や、大丈夫っす。うちてきとーなんで」
「あ、うちも…」
「わあーい!じゃあいこう!」

二人の返事を聞いた梨音がぱあっと花の咲いたような笑顔を向け、紫堂の手をぐいぐいと引っ張る。それにほんの少しの嫉妬を覚えながら二人は梨音の後に続いて家の中へと戻った。

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