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誠二の顔が、一瞬にして強張る。
「なんかさー、初めは好きになれるかなーと思ったんだけど、やっぱちょっと違うかなって。だからさ、別れてくんない?」
「…なんで…、本気なのか?だって、昨日…」
「ああ、セックスはよかったよ。」
笑いながら告げてやる。誠二が、俺を最低だと思うように。
言葉とは裏腹に、言いながら俺の心は泣き叫んでいる。
『本気なんかじゃない』
「…どうやったら、好きになってくれる?」
「無理。絶対ならない。あ、テクはよかったからセフレならなってやるよ?その代わり気持ちは変わらないけど」
『好きなんだ。出会ったときから誠二が好きだ!』
しばらくの沈黙の後、誠二は黙って部屋を出て行った。
これでいい。これで。
だってさ、あんなこと言われたら。親御さんに頼まれたら、仕方ないじゃないか。
婚約者がいるなら、仕方ないじゃないか。
俺は何を言われようがかまわない。
でも、誠二は。誠二だけは。
お前は、色んな人に未来を望まれる人だから。
誠二がいなくなった部屋で、静かに涙を流した。
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