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そのあと、ぼくの手を繋いで王子様は森の出口まで連れて行ってくれた。
「あっ、寮だ!」
「ここまで来れば大丈夫?」
あれ?王子様は学校に行かないの?
こてんと首を傾けて、王子様を見つめる。
「ごめんね、今学校に悪い魔女がいてね。僕は王子様だから今行くと捕まって呪いをかけられちゃうんだよ。」
「!だ、だめ!王子様、見つかっちゃう!早く森の中に逃げて!
ごめんなさい、ぼくのせいでごめんなさい!」
あわあわとして、ぴょんぴょん飛び上がりながら王子様に逃げるように促す。
ぼくは背が低いから、飛んでも背の高い王子様をちっとも隠せない。
「大丈夫だよ、ありがとう。また学校でね。」
にっこり笑って、ぼくの頭を撫でてくれる。
大きな優しい手に撫でられて、嬉しくて顔が真っ赤になっちゃった。
「あ、王子様!」
帰ろうとした王子様を呼び止めて、きてきてと手招きする。
王子様は、ん?と僕の身長に合わせて屈んでくれた。
ぼくは、王子様の首に抱きついて、さっき王子様がしてくれたみたいに、ちゅっとほっぺにキスをした。
えへへ、王子様はがいこくじんだからほっぺにキスが挨拶なんだよね。
だから、ぼくもお返し。
「おうじさま、ありがとう。」
ふにゃんと笑って、走り出す。
「また学校でねー!」
「…くくっ、ああ、またな。オヒメサマ。」
ぼくが去った後、王子様がニヤリと笑ってつぶやいていた。
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