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9

「はい、できたよ。目を開けて。」



薬剤を流した後、桜庭さんは僕に乾かすまで目を閉じていてほしいと言った。
言われた通り、目をつぶっていると桜庭さんが優しく髪をすきながらドライヤーを当てる。
久しぶりのその手の感触がとても嬉しくて、顔がにやけていたかもしれない。



恐る恐る目を開けると、僕の髪は琥珀のような色に染まっていた。
こないだ高木さんに染めてもらった茶色もきれいな色だったけど、こんな色は見たことない。
どこにでもありそうだけど、きっとないだろう。


「よく似合ってる。…これはね、僕が啓太君をイメージして調合した色なんだ。名前はね、『ハニー』
君だけの、色だ」
「さ、くらばさん…」

後ろから抱きしめながら、桜庭さんが耳元でささやく。
僕だけの。僕のためだけに。心臓が、いたい。顔も尋常じゃないくらい熱い。
それは、どういう意味なんだろう。



期待、してもいいんだろうか。



「君が好きだ。かわいい僕のハニー。
…僕だけの色に染まって。」


桜庭さんは、僕を抱きしめながらそう言った。


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