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「…あんた…ばかじゃないの…。4つも下の男の足にキスするなんて…」
「かまわない。俺は良平の下僕だから。愛を誓う行為を許されたと思えばそれさえも喜びだ」
真剣な目で良平を見上げる俺に、良平が涙の流れる顔を逸らす。
「…っ!」
はらはら、はらはらと。静かに流れるその雫が余りにもきれいで、もったいなくて。俺は震えながらそっと起き上がり雫を舐めとった。
ぴくん、と小さく反応する。流れる涙を舐める行為を黙って受け入れる良平に、その行為を許して貰えてる事に歓喜している自分がいる。
「…ほんとは、哲平のためなんかじゃ、なかった…」
ぽつりぽつりと、良平が話し出した。
「僕は、哲平が羨ましかった。哲平はいつも誰からも愛される。かわいい、愛らしい哲平。僕だって哲平が大好きで。哲平の存在に今までずっと助けられてきた…」
俺は、涙を舐めながら時折目じりにキスをする。
「…あんたが、哲平をかわいい、家に連れ込んで犯ってしまおうかって言ったとき。
僕は、哲平が傷つけられることより、あんたに触れられることが羨ましくて。
哲平の、かわりに、なりたかった。
例えどんな扱いを受けることになっても、あんたに哲平を触れさせたくなかった…!
哲平じゃなくて、僕に触れてほしかった…!」
「良平…」
体が、歓喜に震えるのがわかる。良平の口から出る言葉は、まるで麻薬。
「ひ、どいやつでしょう…?大事な、大好きな哲平を守るためじゃなくて、ぼくは、ぼくは自分の欲のために、自らを差し出したんだ。
僕は、あんたが、好きだったから…!」
泣きながら初めて感情を露わにした良平を、思い切り抱き締めてその口を塞いだ。
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