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7

「あ…」


確かに。確かに、俺は小暮のことはよく思っていなかった。


「すごくショックだった…。でも、仕方ないかとも思った。だって俺は入学した時にはすでに今の身長だったし、そのせいで更に絡まれるようにもなってたし。
学内でも、喧嘩を売られることはしょっちゅうだった。それでも、お前と少しでも話したかった。あの時の話をしたら、思い出してくれるんじゃないかって。
でも、やっぱり自分から話しかける勇気はなかった。だって、お前はあっと言う間に学園1の人気者になって。見かける度、かわいい男の子を連れていた。
…俺は、それを見る度、身長が伸びた自分を恨んだ。お前は、いつも背の低い子ばかりを相手していたから。
俺も、あの時の身長のままなら、お前に一度でも話しかけてもらえるぐらいしただろうかって。毎日毎日考えて。
……自分がお前のことを好きなんだって気付いた。」


小暮の目に涙が浮かぶ。俺は、黙って小暮の話を聞いていた。


「二年間、ずっと片想いしてた。でも、このままでいるより、自分の気持ちだけはやっぱりちゃんと伝えようって。
好きだって伝えて、きっぱり諦めようって決めたんだ。」
「…もしかして、あの手紙…」
「…ほんとは、告白するために呼び出したんだ…」


そうだったのか。
俯く小暮に、胸が痛む。

「お前が来てくれて、すごく嬉しくて。
…でも、お前は俺を見るなり、顔をしかめた。それでも、好きだって言葉だけは言いたくて、ドキドキしながら、話そうとしたら、お、俺を、『範囲外』だって、言った。
俺の、告白を、聞く前に。…『どうせ抱くなら、小柄でかわいい子がいいから』って…。
俺に、気持ちを伝えることさえさせてくれなかった…!」



言った。確かに言った。あの時の俺、死ね。
まじで滅べ。



「すぐに去っていこうとするお前を見て、無意識に腕を掴んだ。
それで、まだ何かあるのかって聞かれた時に思いついたんだ。お前に、直接かわいいと思う仕草を教えてもらえたら、一度でもかわいいと思ってもらえるんじゃないかって。
だって、お前がかわいいと思う仕草をするんだから。
そうして、一度でもいい、お前にかわいいってあの時みたいに笑ってもらえたらって…!
俺に残された、最後の賭だった…!」


ぼろぼろと、涙をこぼし嗚咽混じりにあの日の真相を話す小暮。

あの日の小暮を思い出す。俺に告白するために、一世一代の勇気を振り絞ったのだろう。
なのに、俺の態度は最低最悪だった。いい加減だった自分を殺してやりたい。
俺は、どれだけお前を傷つけた?
出来ることなら、あの日に行って自分を殴りつけたい。

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