元親×政宗
妖パロです。
聞いたかい?また出たらしいよ?
噂のアレかい?
あぁ…珍しく見たって奴が手を出さずに帰ってきたみたいだが…ずっと上の空で、ありゃまた山に行くって感じだったよ?
可哀想に…そんなに別嬪なのかねぇ?噂の童は……
なぁ、さっきから一体何の話してるんだい?
なんだ、アンタ知らないのかい?山に出るって噂の男の子の話を……
何年も前の事…。
ある裕福なお家があって、そこにはそりゃあ綺麗な男の子がいたそうだ。
何不自由なく暮らしてたのに、ある夜山賊が盗みに入ってな…
酷いことに家の者は皆殺し。
だがその男の子だけは、その美しさから土産物として連れ去られたそうだ。
自分達で好きに遊んだ後売るつもりだったんだろう……だがその山賊達は入っちゃいけねぇ場所に足を踏み入れちまったんだ。
そこは人喰い鬼が出るって噂の場所で、山賊達はばったり出くわしちまった。
鬼は連れ去られた男の子を見るなり大層気に入って、山賊は全員鬼の腹ん中。
残った男の子を連れ帰って囲ったんだとよ?
で、山に入った奴が一人の男の子を見たそうだ。
その、この世のもんとは思えない美しさときたら……揃ってみーんな心奪われちまうって話だ。
だけどそれは鬼のモノ。
鬼の居ぬ間に…と手を出せば、皆鬼に喰われちまう。
男の子には特徴があってな…?きっと鬼がしたことだろう…
どこに行ってもわかるように、首には鈴のついた縄が。
誰のモンかわかるように、頭には鬼の面が。
遠くからでも一目でわかるように、目も醒めるような鮮やかな青の着物を着せて、立派な帯と飾りをあしらって…。
それが真っ白な肌をより際立たせてさらに心を持っていかれるのさ。
手を出さずに帰ってきた者も、結局その美しい姿が忘れられずにまた山に入ってそのまんま………
帰ってきたもんは1人としていないそうだよ?
なんて恐ろしい世の中か…その子も可哀想に…逃げたくても逃げられず、助けらても助けにきたやつは皆鬼の腹の中…ねぇ……
どうだかね?
案外鬼の為に人を惹き付けて喰わせてやってたりするんじゃないのかね?
んな馬鹿な…何のために?人喰い鬼なんて恐ろしいだろう?
いやぁ、何があるかわかんねぇぞ?一緒にいるうちに情がわいたのかもしれないよ?何せ人喰い鬼が囲った美少年なんだからな?
――――――。
「人間ってのは懲りない生き物だな?こんだけ何度も殺っちまってんのに、まだ鬼の宝に手を出すってか?」
目の前に転がる…もはや肉塊と化したソレを前に、目を細めてため息をつく。
その光景に見飽きたか、すぐに目を反らして傍にいた少年の元へと寄った。
「やっぱり目に写すのはお前に限る…」
鬼とは思えぬその手つきは、まるで壊れ物を扱うかの如く。
そっと優しく抱き締めると、腕の中で少年は不敵に笑った。
「そりゃThanks?でも人間が愚かな生き物なんざ昔からよく知ってるだろ?」
額を首に擦り寄せるのを愛しく思い、鬼はその口にそっと唇を落とした。
「違ぇねぇ…。」
昔を思い出したのか、途端に顔つきが険しくなる。
「んな顔すんなよ?オレはアンタに拾われてよかったって思ってんだ…。」
だからそんな顔しないでもっといつもみたいに優しく笑ってくれ…
そう続けて今度は少年から鬼に口付けた。
闇に染まる山の中
恐ろしいはずの鬼はただ一人…愛しい少年の為に優しく笑い
その鬼に愛された少年は、鬼の為に優しく笑みを向ける。
「愛してるぜ?政宗………俺の宝…誰にも触れさせやしない…」
「オレも元親が好きだ……オレだけに優しい鬼…」
このままずっと喰らい続けて…
心も身体も…
全部が空っぽになるまで…
…………………………
続き物で書きたいです(笑)
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