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On the balcony



*性的表現あり

暗い夜にモーテルのネオンサインが目立つ。真田は瓶に口を付けた。郊外の生温い風に髪が揺れる。ガレージには埃まみれの車が一台停まっていた。向かいに古びたファーストフード店があるだけで辺りは何もない。車旅行者しか寄らない場所。バルコニーの白色の手摺りに両腕を乗せる。気分が良かった。何がそうさせたのか分からない。酒か、或いは長距離ドライブの快感か。いや、ただ今が夜だからだろう。こんなにも夜の黒い暗さを近くに感じる。あの宇宙を思い出す。都会は常に眩しいほど明るい。

やや赤みがかった照明の中、真田は小雪の頬に触れる。己の開いた両脚の間に柔らかな太腿が窮屈そうに収まっている。女性らしい丸みを帯びた曲線。真田は両膝を固定し、硬く勃ち上がったペニスをそれに擦り付けた。圧倒的な熱さを持ったそれは小雪の頭の中を真っ白にさせた。犯されるのだ、今からこの人に。志郎、と淫らな声で呼ばれ、真田はそれに応える。君が欲しい。君の身体が。真田は小雪の耳元でゆっくりと熱い息を吐いた。彼女の右手を左手で指を絡めて握り、ペニスの先端を彼女の割れ目に当てた。外側へ捲れ上がる襞に真田の先端が何度も切れ目を入れる。それが小雪のクリトリスに当たり、甘美なオーガズムを与えた。彼女の厚みのある唇が開かれそれに吸い付く。ガクガクと震える両脚に体重をかけ、ペニスを中に挿入した。

「もっと、」
繋いでいた手から互いの汗が滴る。昂ぶる興奮を今にも破裂させそうな低い唸り声を出した。
「もっとして」
真田はゴクリと唾を飲み込んだ。彼女の欲情を見て取り、より一層強い快感を感じた。彼女の尻の肉を強く掴み腰を浮かせ、狂ったように強く腰を動かした。上げた両腕に揺れる乳房。苦しそうな彼を乱れる視界の中で見る。最初はこんな乱暴な抱き方しなかったのに。自分の言葉一つで彼の余裕はなくなり、彼のペニスは大きくなる。私の何が彼を惹き寄せるのか分からない。けれど彼は私に夢中だ。目を見れば分かる。

昨夜志郎が飲んでいた瓶には少し酒が残っていた。手に取り一口飲んでみたが、苦くて美味しいとは思えなかった。バルコニーに出て朝の風に当たる。こうやって旅をしても結局は自分の元いた場所に戻る。何処へでも行けるというが、何処へ行っても同じである。自分が何者であるか分かっている限り。小雪は煙草を吸いたくなったが生憎手元になかった。難癖をつけ始めた時や気が滅入った時にするのが、煙草か運転、手を洗う事であった。此処へ来た時には暗くて見えなかった公衆電話が向かいの店の隣にポツンとあった。ドアは壊れていてちゃんと閉じないらしく、電話機は宙ぶらりんなままである。孤立した町。外の世界を知らないようだ。煙草から出る白い煙が空へ上がっていくのを想像する。灰の匂い、味、触感を思い出した。

目が覚めた真田は恋人の姿を探した。バルコニーから風が入って来る。その風が乱れたシーツを履い、真田の露出した肩に当たる。小雪がこちらを向いた。彼女が見ているものを自分が見る事は出来ない。全てを知りたいと思うも叶わない。何度彼女を抱こうとも。

Lana Del Rey - West Coast