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A THOUSAND MILES DOWN TO THE SEA BED



波の音が聞こえる。窓が開いたままだ。見るとベランダにある椅子にゴードンがいた。外にはオレンジの海が広がっていたが、彼は眠っているようだった。彼の柔らかい髪が潮風に揺れている。ウェインはベランダに出た。ウェインはどちらかというと神経質な性格だった。旅行に行っても頭の中では副業のことを考え、心の底から休めたことはない。それに比べゴードンは彼とは違うタフな性格だった。ウェインはそんな彼を見て初めて、羽を伸ばせた。ゴードンを見ると何故だか落ち着いて、彼に同化する。それがわかってからウェインは一人で旅行へ行くことはなくなった。ゴードンの手元には本らしきものはない。多分景色を見ている内に眠たくなったのだろう。ウェインはゴードンの傍で膝をつき、ゆっくりと頭を彼の膝の上に乗せた。不思議な感覚だった。どんな景色も、彼と一緒だと美しく感じる。きっと僕はこの時間を忘れはしない。そしてこのまま人生が終わっても構わない。そう思える。自分の髪に彼の指が通るのを感じて、ウェインは目を閉じた。