海軍所属の姉設定 お相手ルフィ



エースは来るなと言った。じいちゃんも、やめておけと言った。


ツライ現実を、目の当たりにするかも知れないと。


「ルフィ!こっち!!」

「―――!!?なまえ、お前も来てたのか!?」


それでも我儘を言って、戦力にも成らない弱い私は、戦いの真っ只中で弟に手を伸ばす。
大好きな、大好きな弟に。


「ねェ、エースが!!」

「解ってる、その為に俺は来たんだ!エースを助ける為に!!」


少し見ない間にルフィは凄く男らしい顔付きになってて、それでも相変わらず可愛らしい笑顔を見せてくれて。
エースに負けっぱなしだった昔とは違って、本当に強く逞しく…ああ、この海に出て成長したのだと思わせてくれる。


「この先、真っ直ぐ行けば死刑台の真下に出れる筈なの!大将達は白ひげの隊長を相手にしてるから、早く」


この弟ならば、どうにかしてくれるかもと…そう思いながらも、海賊を手引きしたと罰せられるかな…なんて。
兄弟達が危険な時に、まだ自分の事ばかり考えてしまう私は、本当に憶病者の卑怯者で…最低な人間だ。


「敵は居るだろうけど、強くなったんだよね?ルフィ、お願い」


敵とは、即ち海兵である私の味方だ。
家族が居て、純粋なる正義を掲げて、人々の安全を守りたいと思ってる人達だって居るだろう。
ここに居る人間は皆、戦う勇気の無い、助けを求めるしか能の無い私とは違う。海賊も海兵も皆、信念を持って此の場に赴いてる。


「ああ、まかせろ!エースは絶対に、死なせたりしねェ!!」


なまえもエースを助けに来たのか?とか、一緒に戦おう!なんてルフィは言わない。私の立場を解ってくれてる。
じいちゃんが言う通りの人生を歩むと決めた日も、ルフィは笑って「じゃあ、これからは敵だな!」と言ってくれた。

まだルフィは海賊にすら、なって居なかったのに。それでも彼の夢は、もうずっと前から決まっていたのだ。


「大丈夫だ、エースは強いんだ!俺は一度だって勝てた事がねェくらい、だから泣くなよ」


なまえには負けねェから、いつか俺やエースを捕まえてみろよ!と笑う弟に抱き付いて、捕まえた!と鬼ごっこかなにかの様に言ったのが
あの日と同じ様に抱き付いてる、いや抱き締められてる今の状況で思い出されて、昨日の様に…けれど懐かしく感じる。


「じいちゃんも来てるんだよな?勝てる気は、しねェけど…でもなまえが助けてくれて良かった」

「助けた…だ、なんて…私っ、なんにも…ッ」

「いいや、助かった…俺は、お前を殴れねェから…それに、顔が見れただけでも嬉しいんだ」


海兵だとしても、せめて今は敵対していなくて良かったと言いたいのだろう。

戦いにならないくらい私は弱いのに、昔からルフィ達は、私が弱いからこそ絶対に手を上げないというルールを勝手に決め、守っている。
今だって人を縫うようにして走るルフィに抱えられたまま、ただ涙を流すしかして居ないのに。

そうだ…前に二人の喧嘩を止めるため、エースに殴り掛かるルフィの前へと、飛び出した事があったっけ。
ルフィは驚きながらも瞬時に腕を方向転換させ、結果的にはゴムの反動で、自らの顔面を殴ってしまったんだ。


「また三人が同じ場所に集まるなんて、この広い海じゃ凄ェ事だろ!じいちゃんも居るし」


本当は居なくても良いんだけど、と笑うルフィの声を聞きながら、どんな形であれ兄の危機に家族が揃ったのだと。
それなのに、もう戻れない…みんなが一緒だった楽しい日々ばかり、思い出してしまう。


あの時に、帰りたいと思ってしまう。


「なァ、なまえ…だから泣くなよ、俺がエースに怒られちまう」





エースは強いし俺が死なせ無ェ、じいちゃんも殺したって死なねェ、二人ともなまえを泣かせるなって殴るに決まってんだ。
そう言って泣きじゃくる私を慰めてくれる、頼もしくなった弟を見て、ルフィに任せれば何もかも上手く良くと―――



ルフィ夢を書く事もあるからか、弟として見れない…
ついつい男前になってしまう


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