海軍所属の妹設定 お相手エース



戦争が始まる。大きな戦いが始まる。
家族である私は、どうしたら良いだろう。


ねぇ、どうしたら良いのかな。


「じいちゃんは、エースだって助けたかったんだよ」

「……感謝はしてるさ」


正義に従えば良いのだろうか。それとも、自分の助けたい人を、思うままに助けたら良いのだろうか。
そんな力、私には無いって解ってるけど…それでも兄であるエースを、弟のルフィを…見殺しになんて出来るだろうか。

けれど、いざ彼等の肩を持つとなると…今度は祖父を…政府の英雄である、じいちゃんを裏切る事になる。


「敵の子だろうと、本当の家族みたいに思ってたんだから!」

「解ってる!けど俺はもう、自分で仲間も親父も、家族だって手に入れた!!」

「何それ!じゃあ、私達は家族じゃ無いって言うの!?エースの為に、必死に戦ってるルフィも!!」


私はエースとルフィの真ん中に生まれて、二人の間で育って、いつだって功を成さないけど喧嘩の仲裁をして。
大好きな兄の味方にも、可愛い弟の味方にもなれず、いつだって二人の間でオロオロしてるだけだった。

それは今でも同じ―――じいちゃんに言われるまま海兵になって、けれど海賊である兄弟達の間で宙ぶらりん。


「違う、ルフィは大切な俺の弟だ…なまえだって、大切な俺の妹だよ」

「じゃあ、何で…」

「それと同じ様に、オヤジだって大切なんだ…仲間も…」


白ひげが仲間を家族と呼ぶ事は知っているけれど、その人達と血の繋がりなんて無いじゃない、とは言えない。
エース、ルフィ、そして私の三人は、一人として血の繋がった兄弟では無いから。


まるで孤独を埋め合う様に、じいちゃんの下に集まった。
私だって彼等ほどじゃ無いけど、犯罪者の血を引いてるらしい。
だから、じいちゃんの所へ預けられたんだ…エースの様に…じいちゃんの力で、謂れの無い罪から守って貰える様に。


「私達…生まれた時から危険因子だなんて、悲しすぎるよ」

「ああ、だから俺は運命に抗いたかった…ルフィの奴は、何も考えてねェだろうけどな」

「海賊になる事が抗う事なの!?じいちゃんの言う通り、海兵になってれば…」

「それも一つの手だ…特に、なまえにはな…お前には、傷付いて欲しくねェから」


鎖に繋がれたエースは、そう言って悲しそうに笑うけど、私だってエースやルフィに傷付いて欲しくなんか無い。
兄弟達が海に出る夢を語った日、私は自分が如何すれば良いか解らなくて、自由を求める事さえ怖くて口を噤んだ。


「なァ、お前は間違っちゃいない…そのままで居てくれ…そのまま、安全な所に居てくれよ」

「兄ちゃんが死ぬって時に!弟が戦ってる時に!!安全な所に居ろって言うの!?」

「そうだ、これは俺達の我儘だ…何が起きたって自業自得なんだよ、俺達も覚悟して海賊になった」


親の罪を背負う事に恐怖して、英雄の名を借り、政府に忠誠を誓った。
正義に属するのは正しいと言い聞かせて、それでも逃げた様に感じるのは、兄弟たちへの最悪感からか。
父の名を、ものともしない弟。抗おうとする兄。自由を求める彼等を前にすると、力に屈した私は何て憶病者なのだろうと。


「お前は大切な、大切な妹なんだ…なまえは昔っから泣き虫で、喧嘩なんか、した事も無くって」

「やめてよ!昔話なんて聞きたく無い!!それじゃあ本当に、死んじゃうみたいじゃん!!」

「俺等が殴り合ってると、よく目を瞑って堪えてたろ?本当に、お前は昔から優しい子で…だから、こっち側には来てくれるな」




戦いには参加するなよ?俺たちは男だ、あとは自分達で如何にかするさ

そう言うエースの連行される背に―――
ルフィが思って戦ってるだろう事を、エースが思って言ってくれたであろう事を


私も思う事しか出来ない。



こんな兄ちゃん、マジで欲しい!
と、最近のエースとルフィを見て思ふ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -