恋の始まりはいつだっけ? | ナノ
この気持ちはなんなのか

六限目、ヒーロー・プレゼントマイクによる英語の授業。
プロヒーローが非常にわかりやすい授業を行っている、というのは未だに、というかいつまで経ってもなれる気がしない。
英語は物の見事に得意分野なため、考え事に耽っていた最中に指名された――なんてことになっても大丈夫。
そんな私は、先程の昼休みの“恋”と“愛”の違いについて、性懲りも無く考えを深めていた。

「愛じゃないなら、なんなんだろう」

騒がしい授業の中、私が隣の席にも聞こえなさそうな程小さな声で呟いた声なんて掻き消されていく。普段だったらうるさくて仕方がないけど、今はその方が都合がいい。

.

あの後、昼休みも違いについて忘れられず、ずっと考えていた。
それでも出たのは、「まだ愛ではない」という事実だけ。全く進展なしだ。
愛ではないならなんなのか。さっき呟いたとおり。私にはわからない。
しかし、恋とも言えなかった。
少なくとも自分中心な訳ではない、と自分では思っている。

「恋でも愛でもないなら何……どちらでもないとか?」

たしかに「好き」。でも、恋でも愛でもない。
どちらでもない「好き」があってもいいんじゃない、なんて六限目の眠気を吹き飛ばした私の脳みそは勝手に思い付いていく。

――全てを型にはめる必要なんて、どこにだって無いんだ。

私の大好きで尊敬している、プロヒーローである父と母の言葉。
二人はこの言葉を受け売りだから恥ずかしい、なんて言っていたけれど、私からしたられっきとした「父と母の言葉」なのだ。
それは、「好き」ひとつとってもその通りな気がする。
型にはめない私の「好き」は、私だけのもの。
誰とも同じじゃない、私だけの気持ち。
考えに整理がついたら、今までにないほどのスッキリとした、清涼感とも言える何かを感じた。
prev next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -