恋の始まりはいつだっけ? | ナノ
ずっと前から好きだったんだ

「がんばれ、応援してる!」

そう声を揃えて応援してくれるA組女子ズ(私を除く)。
今日はついに告白する日。
人生初めての告白でドキドキが止まらない私は、彼女達に応援してもらいに来ていた。
ぎゅっと拳を握って、私は意気込む。

「私頑張るわ、ちょっと轟くんに放課後取り付けてくる」

いってら、と送り出された私はきっと無敵。
そう信じてるぜ。

.

「轟くん、」

こんにちは、と彼の顔を覗き込む。
少しだけ肩を揺らして驚いた彼は、なんだなまえか、と一言呟いて安心した顔を見せた。
どこか気の抜けた、幼い表情。
可愛くて仕方なくてニヤつきそうになるのを抑える。

「今日の放課後、時間あるかな」
「ああ、どうかしたのか?」

う、と息詰まりそうになったのを堪えて、お話があるの、なんて笑顔を作る。
有無を聞く余裕なんてない。
狡いけど「じゃよろしく、」と勢いで話を終わらせて走った。

.

色付きリップはオーケー、髪も乱れてない。
私はかわいい、絶対成功する、と自分に暗示を掛けて轟くんを待つ。
ガラガラ、と大きすぎる扉の開く音がした方を見ると、そこには彼がいた。

「来てくれてありがとう」
「おう、」
「話っていうのはね、」

初めっからうるさかった鼓動が、更にどくどくと音をあげる。
後ろ手に隠した手紙。
出さなきゃ、渡さなきゃ、伝えなきゃ、と分かっているのに体は動かない。
一人でもやもやしているうちに、隠してるそれはなんだよ、と後ろを確認される。見られないようにくるくる回るのに集中していると、反対側から取られた。
あ、やば、と反射的に頭に映し出される。

「〜〜っあの!ずっと、ずっと好きでした!
中二の……覚えてないかもしれないけど、勉強を教えた時から、轟くんが、」
「……俺だって、」

俺だって好きだ、
そう確かに言った彼の瞳を見つめる。
微かに目を見開いて、は、と情けなく声を絞り出して。

――ね、私と付き合いませんか。

こちらこそ、そう返した彼の笑顔を私は何年後も忘れない。
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