恋の始まりはいつだっけ? | ナノ
一目惚れ

雄英体育祭。今ではオリンピックに変わる、日本の一大イベントだ。
今日はその当日なわけで、他校の体操服より幾らかピッタリとした体操服を着用して、準備万端の生徒達が入場する。
今年の一年ステージは敵ヴィラン襲撃の被害にあった一Aがあるからか人気で、観客席にも沢山の観客が喚いていた。
歓声、と言った方が正しいのかもしれないけど、五月蝿すぎてそういう気にすらならない。

「うわ、緊張する……」
「大丈夫だろ、お前なら」

びく、っと大きく肩を揺らして振り向く。
中学の時よりも低くなった声、伸びた身長。
振り向いた先にいたのは、予想通り轟焦凍だった。
とても久しぶりに話した気がする。
最後に話したのは、確か受験前。
雄英の推薦が来たんだって話をしたのが最後だったような、そんな気がする。
私は好きになってからグイグイアピールするタイプではなく、むしろ避けることのほうが多いタイプ。
だから、ずっと話していなかった。

彼は中学の時と変わらず、派手ななりをしているくせにどこか儚くて、それはもう見た目だけで好きになる人なんて山ほどいるのでは、という程。
薄く微笑んだ時に上がる口角すら最高最強、向かうところ敵なし。
顔を見るだけで、一言話すだけで胸がきゅんと疼いて、目を合わせただけで顔を通り越して全身が熱くなった。
そうです。元々惚れてたのに、私は二年越しの“一目惚れ”をしました。

「第一種目は――障害物競走!!」

十.八.禁ヒーローミッドナイト先生から放たれた第一種目・障害物競走。
学年全員参加。個性の使用は自由で、コースアウトしなければ何でも良しな雄英らしい種目だ。
私だって、ヒーローになりたい。
それはきっと、ヒーロー科に通うものなら誰だって同じだ。
スタート地点に立ち、大きく深呼吸する。
――私ならいける。
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