私はあなたにより生かされている
もうすぐクリスマス休暇になるねえ、と数日後に訪れる休暇の話題を出す。
私はホグワーツに残るから、恒例で行われるダンスパーティにあまり出たくはなかったけど、レギュラスがホグワーツに残るのなら一緒に踊りたかった。
聞きたいけど、彼はわりと鋭いので勘づかれるのが恥ずかしくてなかなか聞けていない。遠まわしに休暇について話すことしかできなかった。
「……なまえはこっちに残るんですか?」
そう言って私をただ見つめる。
聞くつもりが聞かれてしまった、まあその方が恥ずかしくないしいいかと自己解決してから返事を返す。
「残るつもりでいるけど……」
ついでにダンスにでも誘われないかな、と期待してみたけど、返ってきた言葉は……
――そうなんですか。
別段誘われはしなかった。
もうすぐ寮についてしまうのだけど、自分から誘うなんて……と未だに恥ずかしくて言い出せずにいる。
「ねえ、なまえ」
いきなり名前を呼ばれて、少し身体が強張る。
何、と無機質な声で答えた。
「僕、今年は残らないんです、貴方と踊りたかった」
ああ、今年は残らないんだと少し残念に思うけれど、迷惑はかけたくないので隠す。
じゃあ手紙を送るわね、と明るく見えるように、なるべく元気な瞳をして彼を目を合わせる。
それからは何も言葉を交わすことなく寮に着いてしまい、その日は別れた。
――私は、彼が背後で「愛してます、今でも、いつまでも」なんて言っていたことは知らなかった。