「レギュラス君がすきなの、わたしと付き合ってくれませんか」
……最悪だ。
どうしようもないくらい平凡な、しかし楽しい毎日とは早いもので、もうすぐクリスマス休暇となる。
しかし休暇に近づくにつれて、告白されっぱなしのレギュラス。
今も告白されていて、盗み聞きしているのだ。
女の子たちの間では、『レギュラス君って最近かっこよさ増したと思いません?』とのこと。私と付き合ってるとは夢にも思っていないのか、私本人にも言ってくるのだ。
その場では『そうね、彼は知的でかっこいいわ』と返すけれど、実際腸が煮えくり返るくらいにイライラしていた。
そんな人が私の彼氏なのよ、と自慢したい気持ちではあるのだけれど、気づいてない彼女達が非常に滑稽なため言ってはいない。
「――すみません、恋人がいるので」
いつも彼は苦笑いを添えて返すのだが、これだけじゃ諦めてくれる子ばかりではない。
「……っ、どこの誰なのよ」
今日の彼女も例外ではないようだ。
ここの私です、と盗み聞きしているのを忘れて叫びそうになり、言葉を飲み込む。
「そうですね、純血ではないですがそれでも愛したいと思えるほどに愛らしい方ですよ」
「私の方が……っ!!」
レギュラスの言葉に自分の方が勝っていると言いたかったのか、彼に無理やりキスをしようとしていた。
彼女を止めるべく、私も飛び出す。
ちゅ、とリップ音が響く。
もちろん私とレギュラスの。
彼に告白をしていた女生徒は、みょうじさん……と呟きながら舌打ちをし、走っていった。
「もう、最近告白されすぎて嫌になっちゃうわ」
「ごめんなさい、それよりも貴方聞いていたんですね」
今度は私がごめんなさい、と謝る番だった。
僕、あなたを探していたんですと彼が言うから、驚いて目を合わせる。
「――実は、話があって……」