02


がたん、

「、ん……」

目を開けるとそこは、どこかの電車のコンパートメントのようだった。

――あれ、わたしコンパートメントなんて乗ってない。

不安で冷や汗が流れてきて、辺りを見回す。
アンティーク感のある壁が、まず電車のようには見えない。
どこか、映画で見たような汽車のような。
荷物はすべて手元にある。

「ここはどこ……?」

やっとの思いで絞り出した言葉も、疑問にしかならなかった。

「……あの」
「はい!!?」

控えめな、細い声のした方を見ると、黒髪の美少年がこちらを見ていた。
英語で話してるあたり、ここは日本ではないの?

「君――ホグワーツの生徒じゃない、ですよね」
「ホグ、ワーツ?」
「そう、ホグワーツ魔法学校です」

聞いたことのあるような、ないような名前だった。

「私、千代田区立の高校1年で……浜松市に向かうための電車に乗っていたはず、なんです」

「ちよだくりつ?こうこう?はままつし?……なんでしょう、それ」

――は?
え、待って、なんで?どうして通じないの?

「すみません、ここってどこなんですか?」
「イギリスですよ。ホグワーツ魔法学校行きの汽車の中です。」

……イギリス!??!
どこかで見た汽車。聞いたことのある名前。イギリス。あとひとつは――

「あなたの名前って……」
「レギュラス・ブラックです。状況は理解できました?」

ええ、と返事をこぼし、頭を整理する。
どこかで見た汽車は――9と3/4番線。
聞いたことのある名前は――かの有名な者達の学んだ学校。場所はイギリス。
そして――レギュラス・ブラック。

――私は、ハリーポッターの親世代にトリップしてしまったようだ。
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