「なあ、俺と遊ぼうぜ?」
「い、いいわよ……!」

低く甘い声で誘惑する美男子と、頬を林檎のように赤く染めている女生徒。
私をそれを遠目に眺めている。

誘惑している美形は、同じグリフィンドールのシリウス・ブラック。
私は彼のそんなところが少し苦手だった。
そんなところというのは――まあ、私が彼のそういう面を除いては好意を持っているから。
艶やかな黒髪に、ダークグレーの瞳。
見た目もだけど、純血主義のブラック家に生まれたにも関わらず、自分にそんな主義はないと家を出た彼の勇気に――恋をしたのだ。

なんてそんなことを言っても、きっと彼なら何をしてもどうしようもなく格好よく見えてしまうのだから仕方がない。彼が何をしようと好きになっていた気がする。

しかしあんな調子だし、相手は可愛い女の子ばかり。私なんて相手にされないわ、と思いながら――そもそも私と彼は話したことさえないし――親友のリリーのところへ歩みを進めた。

「貴方って真面目だし頭もいいけど、そういうところは不器用ね」
「そう思う?」

リリーは私がブラックを好きなこと、そして彼の女癖の悪さが苦手なこと、全て知っている。
彼女は好きなったらとことんアタックしなさいってタイプだし、実際私にも何度かそうアドバイスをしたこともあるけれど、私はそういう性格ではなかった。
なまえはどうしたいのよと問いかけてくるリリーに今は見てるだけでいいのよと子供のような言葉を返しながら、いつか誰かにもらったストロベリーティーを啜った。
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