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「勝己くん、なんで……」
「上がるぞ」
私の質問に答えることなく、ずかずかとリビングから階段へ、そして私の部屋に上がり込む。
なんで勝己くんがここにいるの?
まだ怒ってる?
なんて、聞きたいことは沢山あった。
ぼすんと派手な音を立てて私のベッドに座る彼に、もう一度尋ねる。
「なんで、何でここにいるの、朝喧嘩したじゃん」
「その事だよ――朝は悪かった」
いつも自信満々で堂々としている勝己くんらしからず、俯いていた。
私だって悪かったと思ってる。
だからこそ勝己くんは怒ってて、絶対許してくれないだろうなって思ってたのに。
「気にしなくていいよ、もうその話は終わり」
それより、本当に私達もうお終いなの?
にこりと微笑みを向けて、彼に聞く。
はっと私の顔を見た後、いつものようににやりとした自信に満ち溢れた顔で、
「そんな事させねえからな」
ぎゅっと私を抱きしめて、
「わたしも一緒だってば」
いつもみたいに、かっこよく笑うんだ。
ぴろんとタイミングがいいのか悪いのか、同時に音をあげた私のスマホと彼のスマホ。
通知はお茶子から。
『お二人さんどう〜? しっかり仲直りしてね!』
仲直りできたよと返信するために離れることすら嫌で、二人で顔を見合わせて笑う。
たとえ喧嘩したって、別れそうになったって、やっぱり私には勝己くんしかいない。
これからも、勝己くんの全部を私に見せて。
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