キーンコーン、と軽快なチャイムの音が鳴り響くと同時に、私は爆豪くんの元に駆け寄った。

「爆豪くん、ちょっといいかな」
「なんだよ丸顔」
「――なまえのことなんだけどさ、」

あ?と睨みつけるような鋭い視線を送る彼は、なまえの名前を出したら、ビクッと一瞬動きを止め、知らねぇよと呟いた。
これは何かあるな、と彼を更に問い詰める。

「今日休むって連絡あったんだけどさ……昨日の放課後になまえから相談受けてたんだ。爆豪くんともっと仲良くしたい、みたいなそんなことだよ」

本当に何も知らない?
そう彼の眼をじっと見つめる。
怖いけど、なまえの為だ。
爆豪くんは、少し目を伏せて、そっと語り出した。
朝、なまえと喧嘩をしたこと。
傷つける言葉ばっかりだって言われたこと。
もうお終いだって言ってしまったこと。
一つ一つ私に話してくれる間、爆豪くんはちょっぴり涙目だった。
きっと彼だって辛かったんだと思う。

「俺だって悪気があったわけじゃねえよ……偶にはちゃんと言ってやらなきゃだめだって事もわかってたんだよ」
「爆豪くんだって悩んでたんだよね?……お互い好きなんじゃん。本当は、喧嘩したままなんて嫌って思っとるんやない?」

仲直りした方がいいよと笑うと、爆豪くんは「丸顔なんかに言われなくったってそうするわ」とそっぽを向いていた。
ずる、と鼻水をすすっている彼に頑張れと声をかけて、お先に失礼した。

きっとこの後――放課後、爆豪くんはなまえに会いに行く。
でもなまえには言わない。運命を感じればいいと思うんだ。

.

『なまえ、好きだ』
『何いきなり。――私もだよ』

ひゅっと息を飲み込んで辺りを見回す。
ここは自分の部屋だ。私一人。
私に囁かれた爆豪くんの「好きだ」は、夢だった。

あれから何時間が経ったのだろうか。
はっと目を覚ました私は、枕元に置いていたスマホのディスプレイを点けて時間を見る。
結局昼食すら食べずに寝てしまって、空は茜色に染まり始めている。
もう皆は帰宅している頃だろうか――とメッセージアプリを開くと、クラスメイトからのメッセージが有難い程来ていた。
返信はどうしようと悩んでいたところに、ぴんぽん、とチャイムの音が鳴る。

「はい――え?」
「……よう、」

扉を開けた先に居たのは、夢にまで見た勝己くん。
誰か、勘違いする前に夢だって教えて。



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