感想 


62.源氏高校〜聖なる同人誌〜
 2011/10/09 - 辛口感想
ジャンル:学園ギャグBL
長さ:長編?(連載中)

40ページ目まで拝読いたしました。


いいかげんなあらすじ:
源氏高校(男子校)に転校した義川経貴。
『聖なる同人誌』の盗難が原因で、源氏高校ではノンケが腐男子化していた。
高校の権力者に同人誌の奪還を頼まれた経貴は、美形を二人つれて他校に出向くことになるが……。


 安定していて読みやすい文章
 ギャグがあまりおもしろくない
 キャラクターが薄い
 文体と内容が合っていない





明るくライトなギャグ系BLです。
シリアス要素は今のところ一切なく、BL要素もネタっぽく書かれているので、
BLになじみのない人でも、抵抗なく読めそうな作品です。
文章もクセがなくて安定感があるので、読み手を選ばない印象です。

しかし、全体的に上品すぎて、ギャグにもキャラクターにも勢いがありませんでした。
そもそも、淡々とした三人称の文体と、現実離れしたギャグで構成されている内容が、まったく合っていませんでした。


 安定していて読みやすい文章

平易な言葉で書かれており、文章の流れもいいため、とても読みやすかったです。
また、文法的にも怪しい箇所がなく、安定感のある文章です。

ギャグシーンが少々淡白すぎる面もありますが、
軽い話に仕立てるために、文章の上手な人が意識的に文字数を削っているような印象を受けました。

全体的にかなり描写が少ないですが、ストーリーはあってないような作品なので、
文章がきちんと書きこまれていても、読むのに時間がかかって、かえってイライラしそうです。
そのため、ギャグシーン以外は、個人的にはちょうどいい文章量でした。


 ギャグがあまりおもしろくない

文章はたいへん読みやすいのですが、ギャグがあまりおもしろくないため、物足りなかったです。
センスがないわけではないのですが、「笑わせてやるぞ!」という勢いや気合に乏しい印象を受けました。

まず、ギャグが小粒なわりに、弾数が圧倒的に少なかったです。
ひとつひとつのギャグはつまらなくても、矢継早にギャグを連発されると、
「どうしてこんなギャグで……」と笑ってしまうことも多々あります。

また、ひとつひとつのネタの扱いが淡白で、イジリが足りません。
ギャグに連続性がないため、勢いが不足しているのです。
登場人物が奇行に走ったら、それに被せるようにギャグを重ね、
ネタをもっと掘り下げたり、広げていってほしかったです。


 キャラクターが薄い

ギャグがおもしろくなかった原因としては、キャラクターの薄さも考えられます。
キャラクターの識別は十分できるのですが、ギャグメインの作品にしては、キャラがぶっ飛んでいないのです。

登場人物の性格や小道具(リコーダーやバットなど)を活かしたギャグが少ないせいで、
キャラもギャグも薄味になってしまっています。
ボケにボケを重ねる発言や、ボケに対するツッコミがないため、
会話がたいしておもしろくなく、それぞれのキャラクターの特色が出にくくなっているのです。

また、登場人物が皆想定内の行動しかしないせいで、おもしろみに欠けています。
おもしろいギャグは、意外性から生まれることも少なくはないはずです。


 文体と内容が合っていない

地の文が冷静すぎて、脳がギャグモードに入れないせいで、ギャグを楽しめなかった面もありました。
淡白な三人称の文体は上品すぎて、内容のカオスっぷりを表現するのに適していないのです。

場のカオスっぷりを演出するために、ギャグシーンだけはもっと書き込んでほしかったです。
ただでさえ弾数が少ないのに、ギャグの影が薄すぎて、
作品の要であるギャグをうっかり読み飛ばしてしまいそうになりました。

また、台詞はもちろん地の文(心理描写)でも、比較的真人間な主人公がツッコミを入れてくれないので、
どこで笑えばいいのかよくわかりませんでした。


この作品は「ギャグ>>>>ストーリー」で、決して続きが気になるタイプの話ではありません。
そのため、たとえ文章が読みやすくても、ギャグにしろキャラ萌えにしろ、
その場その場で読者を楽しませていかなければ、すぐに切られてしまう可能性が高いです。
そういう意味では、ギャグ小説は非常にシビアだと思います。

今回の感想のなかで、ギャグに対してダメ出しを重ねてきましたが、
文章の品のよさがずば抜けていたため、作者さまのギャグ系以外のお話を読んでみたくなった作品です。


 |  | 




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -