月夜:露伴
2013/07/23 03:55

寝室の灯りはいらなかった。窓を開ければ、月明かりと共にひやりとしたそよ風が入り込んでくる。そうして涼んでいると、入浴で火照った肌も緩やかに冷めていった。

「風邪引くぞ」
「うーん、でも気持ちいい」

露伴ちゃんもやはり体が火照っていた。くっついた体は熱くて、汗がじわりと滲むのを感じる。

「暑いよ」
「月、明るいな」
「あー、うん」
「電気いらないな」

話を聞け話を。多分だけど、露伴ちゃんはいま、やらしいことを考えている。

「露伴ちゃんは次に、『満月の日は夜這いしていいんだぜ』と言う」
「へえ、君にもそんな知識があったのか」

…言えよ!感心してないでさ!外すとちょっと恥ずかしいじゃない。

「じゃあ僕がしたいこともわかるよな」
「さっきお風呂でしたばっかじゃん」
「いいから寝ろよ。せっかくだから夜這いさせろ」
「意味わかんない」

ポイッ、とでも形容できそうな気軽さで、露伴ちゃんは私をベッドへ放った。こうなったら露伴ちゃんは、月明かりの元でどれだけ活動できるか試すまではきかないだろう。



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