フロリアン・ヴァイツ様
日本では寝苦しい夜が続いていますが、如何お過ごしでしょうか。僕は両親、梅若さんと共に元気で過ごしていますがフロウも身体を壊す事無く健康でいるのであれば幸いです。
夏休みに入り、早くも8月となりました。
つい先日近所で行われた夏祭りに行ってきました。夜空に打ち上げられる花火を見ながらりんご飴やかき氷などの屋台を周りとても充実した時間を過ごす事が出来ました。今年の花火は去年見た物よりも一層美しく、きっと来年の花火も更に美しい事でしょう。我が儘な事ですが、来年は是非ともフロウにも見せたいと思いました。
日本では冬終業、春始業なのですが、学校が始まる頃薄ピンク色をした《桜》という花が咲きます。そちらでは《チェリーブロッサム》という名の方が親しみがあると思います。
日本で桜と言う樹は古くから親しまれ、とても特別な物です。
桜には穀物の神が宿るとも言われていました。《サ》は田の神を指し、《クラ》は神の座、即ち依代を指すという事から桜は《穀物の神の依代》として信仰されていました。
そして開花から散るまでがとても短く儚さの象徴ともされています。正式ではありませんが、事実上国花として扱われてもいますね。
桜は春を告げます。僕たちは桜が咲くと同時に「春が来た」、「新学期が始まる」と思うのです。
余談ですが、手紙に同封したカードは桜の香りを紙に閉じ込めた《名刺香》と言います。名刺や手紙に一緒に包む事で香りを移す事が出来るのです。僕のお気に入りの一つです。
長々と桜について書きましたが、要するに、桜の無い新学期と言うのは馴染みが無く、とても新鮮に感じるのです。
僕は今、夏の風物詩を楽しみながら新学期の準備を進めています。今年は父の都合から、早めにイギリスに渡り、新学期までを漏れ鍋で過ごそうと思っています。
フロウの所にも教科書のリストは届いたでしょうか。今年は防衛術に関する教科書が多いようですね。
もしよろしければ、一緒にダイアゴン横丁に新学期の買い物に出掛けませんか?
返事をお待ちしています。
では、まだまだ残暑厳しき折り、くれぐれもお身体ご自愛下さい。
片瀬 八尋 |