酷い頭痛がした。頭をカチ割られるんじゃないかと思う位酷い頭痛に襲われてプロシュートは呻く。 今までで一番酷かった二日酔いよりも強い痛みに思わず泣きたくなった。 あまりに酷すぎる頭痛にとても寝ていられない、と痛む頭を抱えながら起き上がろうと身体に力を入れた。
『ってえな、クソ』
いつもよりも全然身体が動かない。一体どういうことだ。 異様に口が渇いている。体中が痛い。特に右腕が痛かった。
何とか起き上がり、辺りを見渡して見てプロシュートは絶句する。 自分の部屋ではない、アジアンモダン調にまとめられた落ち着いた雰囲気の部屋。プロシュートはその一角に置かれたダブルベッドに寝かされていたらしい。 自分の部屋ではない。誰か女の部屋に転がり込んだ覚えもない。
最大限の警戒をしながら痛む身体を動かしベッドを下りようとした、その足元。 白い犬が寝転がっていた。雪のように白く滑らかな毛並みを持った大きな犬。呑気にベッド脇で寝転けていた犬はプロシュートが起きたのに気付き、黒い双眸をベッド脇のサイドテーブルへと向ける。 釣られるようにしてプロシュートもそちらを見ればサイドテーブルの上にはプロシュートの持ち物が並べられていた。
ズタズタのスーツに血塗れた煙草と拳銃。その隣にはカルテと思われるものが置かれている。 訳も分からないままカルテを見てみるとプロシュートの顔写真と共に身体検査の結果が英語で書き込まれていた。
『患者名、unknown……外傷無し。ただし、極度の貧血症状有りィ?』
ざっと読んで、そこで自分の状況を思い出した。
自分は列車に乗っていた。弟分と共にパッショーネボスの娘・トリッシュを狙って彼女の護衛チームと交戦した。その結果、護衛チームのリーダーであるブチャラティに敗北。――という所までは覚えている。
『此処は一体どこだってんだよ』
自分の状況がこれっぽっちも理解できず途方に暮れていると白い犬がプロシュートの足に擦り寄ってきた。驚いて犬を見ると目が合う。 見るからに間抜けそうな犬は小さく鳴いてから部屋の扉の方へ移動した。器用に扉を開けた犬が外で行儀よくおすわりをする。犬はまた一つ鳴いた。
『ついて来い、ってか?』
血塗れた拳銃の動作を確認して、プロシュートは警戒しながら白い犬の後を追った。
プロシュート逆トリ2
2014/09/29 00:42 ( 0 )
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