五部プロシュート敗戦後→復活!トリップ 夢主は並盛高校2年生 色々ハイスペック過ぎて胸焼け起こしそうな敬語少女 最近幼馴染なスレツナがよく面倒事を持ってくるのでちょっと心配している デフォルトは『滝沢五十鈴』で 「」→日本語 『』→イタリア語、的な感じで表記
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五十鈴の家は時代錯誤な森林の中だ。人気が無く静かで自然が溢れる森の中にある一軒家。
祖母がこの地を気に入り、終生の地として家を建て晩年はここで過ごした。 祖母亡き後は五十鈴が一人と大きな白い犬一匹と住んでいる。 五十鈴が祖母の家に来るのと同じ年にやって来た犬は『雪明かり』と名付けられ今も昔も大切な良い家族だ。
並盛高校から帰宅するのに徒歩で30分程。 今日も今日とて学校帰りに買い物を済ませて帰路につき、途中で会った近所の人に挨拶をしてちょっと立ち止まって世間話をしたり。祖母の昔馴染みとはよく話が弾んだ。 そうして薄暗くなった夕暮れ道を歩き、民家が減って木が多くなったらもう家が近い。簡単に舗装された緩やかな坂道を上がって開けた所に出ればもう家の屋根瓦が見えるのだ。
帰り道の話を学校の友人に話すと大抵驚かれる。この平成の世に何だってそんな辺鄙な所に住んでいるのか、と。 まあそういう反応だよな、と思う。 何せ喧騒から離れ、森林に囲まれた一軒家に季節折々の家庭菜園が設けられた庭。庭にはウッドデッキ、と正に五十鈴の祖母が多大に気合いを入れて作った『終生の家』だ。 平成の世を生きる女子高生の一人暮らしには似つかわしくない。
それでも五十鈴は気に入っている。菜園や花壇の世話も、程好く離れた喧騒も。 雪明かりもいるのでそう寂しいと言うことも無く、他にも色々五十鈴にとってこの家は都合が良い。
「――ゆき?」
もう自宅は近く後は坂道を上りきるまでという所で雪を纏っているかのように白い毛並みを靡かせた雪明かりが走ってきた。
とても頭の良い犬だ。五十鈴の言うことをよく聞きよく従う。 普段から庭に繋がれず、敷地内を好きに散歩しては不審者を伸したり迷い込んだ子供を保護したりする。 そして五十鈴のボディーガードのように振る舞う犬だ。
そんな彼が五十鈴を迎えに来たようだ。 だがおかしい。いつもの迎えなら山の手前で五十鈴を待っている。
「何かあったんですか?」
駆け寄って五十鈴の足にすり寄る雪明かりがプリーツスカートの裾をくわえて引っ張る。 何かあったらしい。 されるがまま、雪明かりの案内で坂道を上りきり家を素通りして庭の方に引かれた。
菜園の近くに配置された倉庫の裏。
「んん?」
一体どういう訳か、金髪美人が倒れている。ボロボロのスーツに大量の血が付着している。 恐る恐る首に手を当て脈を取る。――生きている。
血にはそれなりに慣れている。殺人事件やちょっと人に言えない事件に関わるのだって日常茶飯事。 だがそれらの殆どは紙や電子媒体を通してのことだ。奇しくも最近それらが五十鈴の日常に直接関わるようになってきてしまっているが、だからと言ってまさか血塗れの金髪美人が自宅の裏で行き倒れているなんて。
得意そうに五十鈴の手に鼻先を押し付ける雪明かりを撫でながら、祖母の昔馴染みで口の固いおじいちゃん医師に電話をかけた。
「すみません。お庭に血塗れの美人さんが倒れてるんですが、どうすれば良いですか」
何かが始まる予感がする。
プロシュート逆トリ1
2014/09/28 19:42 ( 0 )
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