ふたりの仲良し事情
「なんでそんなこと言うの!」
目の前で、久しぶりに清香がキレている。
俺はテレビで流れるバラエティを見ながら、いちごみるくを飲んでいた。
「わめくな。うっせぇ」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん!」
「別に間違ったこと言ってねぇし」
「言ったよ!てか…もう、むしろ由和くんの生き方そのものが間違い!」
「はぁ?お前たいした口利くようになったな」
ぎろりと清香を睨んだけど、清香は全く臆せずに俺を睨み返した。
いつからこんな風に俺にたてつくようになったんだろ。
「別にいいだろーが。そもそもお前がそんな色気ねぇパンツ履いてくるから悪いんだろ」
「別に誰かに見せるようなものじゃないんだから、何履いたっていいじゃん!」
「俺に見せるかもって想定してかわいいの履いてこいよ」
「しないよそんなの!変態!」
事の発端は数分前。
たまたま見えてしまった清香のパンツが、俺的にあんまり好きなやつじゃなくて。
俺が「だっせーパンツ履いて俺ん家くんなよ」と言ったことで、清香がキレた。
「だいたいこれのどこがダサいのよ!」
「色」
「普通のピンクじゃん!」
「黒とかが俺は好き」
「由和くんの好みなんて知らないよ!」
「じゃあ今知れて良かったな」
「…っ、腹立つ」
こんなことぐらいで目くじら立てる意味が俺には全然わかんないけど。
でも実は、こんなことぐらいでブチ切れる清香のこと、かわいいなーとか思ってたりもする。
頭から湯気がたちそうなくらいに興奮状態の清香は俺に背を向ける。
俺は飲み干したいちごみるくのパックをゴミ箱に投げた。
綺麗にアーチを描いて、それは見事にゴミ箱の中へ吸い込まれていった。
「清香」
「…なに」
俺の声に素直に振り向いた清香に、不意打ちでキス。
後頭部を抑えつけて強引に舌をねじ込んだら、あっという間に清香の体の力が抜けてしまった。
「…っ、は」
「清香かわいい」
「………」
「なんでこんなに好きなんだろ。清香のこと」
言い終わるか終わらないかでぎゅっと抱きしめると、さっきまであんなに怒っていたくせに、清香も力なく俺の首に腕を回した。
俺は知ってる。
清香がどんなに不機嫌でも、どんなに落ち込んでいても、こうすれば一瞬で彼女の心の中が俺一色になるということ。
「私も、由和くん大好きだもん‥」
「うん。知ってる」
いつもこうして上手く俺に丸めこまれていることに、清香は気付いていないみたいだけど。
清香のことが好きすぎるのは嘘じゃないし、まぁ良しとしよう。
とりあえず今日も、俺たちは仲良しです。
END
2011/11/06
For ゆいな様!
由和×清香のその後のお話でした*リクエストありがとうございました!
ふたりのほのぼのしたお付き合いが書きたくて、こんなふうになりました(^^)清香のキャラが連載時とちょっと違う気も……ごめんなさい。
ではココまで読んでくださりありがとうございました!
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