「ぶーんたっ!」

「うおっ」


仁王と次の教室移動の為廊下を歩いていたときだった。
後ろから予測もしていない衝撃をくらい、前につんのめるが、なんとか踏ん張った。

「ちょっいきなりなんだよ!」

「えへへー」

衝撃の正体は、俺の、愛しい彼女。
1年からの仲で、最近やっと結ばれた。うん長い月日だった…。鈍感なあいつを落とすのにどれだけ苦労したか。って今は回想に浸ってる場合じゃない。ちゃっかり後ろから腰に抱きついてるので、首だけを回す。彼女はにこにこ笑っている。
そんな光景を見ている仁王もにやにや笑っている。

「ホントはね、放課後まで待ってようと思ったんだけど…」

「は?なにが?」

急ににこにこ顔が無くなり、真剣な目で見つめてくる。おっおい、別れ話とかじゃないよな?

「うん、ほら今日、ブン太の誕生日じゃない?だからその…」

「あ…」

そう言えば、朝からプレゼントもらうわけだ!!
なにも言わず、押し付けるように去ってくからなんの日か謎だったんだ。しかし自分の誕生日忘れてるとか…。


「…ブンちゃん話に水を差すようじゃが急がんと間に合わんぜよ」

仁王の言う通り、他クラスの時計を見れば、あと5分で授業が始まる。次の教室まで若干距離があるが走れば問題ないだろ。

「あっうん、わかってる。で、誕生日がなに?」

まぁ別れ話ではなかったので俺は内心安心した。

「ごめんね、急いでるよね。えと、ブン太は他の人から沢山プレゼントもらってると思うからさ、私が在り来たりなものあげても被っちゃうと思ったから…」

すっと俺の背中から離れた。俺も必然的に後ろに居る彼女の方を向く。

「だからね、私にしかあげられないものをあげようと思って」

「お前にしかあげられないもの?」

「うん。それは"私"。私をプレゼントしたいと思います!!」

「んなっ!」

「ほぅ…」

言い切って精々したのか、なぜかガッツポーズをする彼女。仁王は面白そうににやけてる。


「今日は、私をブン太の好きにしていいよっ!!」

そう言い残し、顔を真っ赤にしながら走り去ってしまった。

「あっあれはどういうことなんだぁ!?」

「…ぷりっ」

少しの間俺は動けないでいた。当然授業には遅刻。
今年の誕生日は、多分、一生思い出に残ることだろうと思う。

(好きにって…!!)
(いっ言っちゃった!!)




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丸井くんおめでとう!

うたた寝*和 梅子