クリーム色の蒼い空が私
の頭上一面に広がってい
た。大きく伸びをする。
なんだか今日はやけに学
校が賑やかだった気がし
た。なんだっけ、確か女
の子たちが騒いでたんだ
けど‥。まぁ、うん。 

「綺麗に咲いてくれたね
え。」        

目の前の小さな可愛らし
い花たちに話しかける。
淡いピンクがゆらゆらと
揺れた。この花たちは彼
と私で大切に育てたもの
で、最初は一つの小さな
種から始まった。今では
何十という花が咲いてい
るこの花壇は私にとって
も彼にとっても誇らしい
ものだ。       

私はこの時間がとても好
きだ。ゆっくりと流れる
雲や空の下に咲く花、暖
かい風が、私には何かお
話の世界に飛び込んだ気
持ちになる。この場所を
学校のほとんどの人は知
らない。私が知っている
かぎりでは私と彼だけだ
。こんなに綺麗なのに、
少し、勿体無いなといつ
も思う。       

彼はなかなかこの場所に
来る時間がない。忙しい
人でどこかの部活の部長
をしているそうだ。もう
少し見ていたいけど部活
に行かないと、そう言っ
ていつも愛しそうに花を
見つめて笑っていた。 

名前は確か、     

「ゆき、ゆきー‥みやく
ん?」        

「幸村だろぃ。」   

いきなりのことに驚く。
誰もいないと思っていた
。慌てる心臓を押さえて
後ろを向く。     

「び、びっくりしたー。
まだ心臓が早いよ。そう
かー幸村くんだったね!
綺麗な人だよね!なんで
この場所知ってるの?」

キラキラと太陽に照らさ
れて少年の赤い髪の毛が
光っている。     

「お前、話に脈絡がねえ
な。というか幸村くんを
覚えてないやつとかいた
んだなー。女ならすぐ覚
えそうなのに。」   

「覚えてないわけじゃな
いよ!ただちょっと名前
を忘れてただけだよ!」

「それを覚えてないって
いうんだよぃ。」   

あはは、そうだね!と私
は笑った。ふわりと風に
のって甘い香りが鼻をく
すぐった。      

「じゃあ、俺のことも知
らねぇよなー‥」   

「あれ、会ったことある
?」         

「ないぜ。」     

「ならわかんないよ。」

そう言うと彼は少しつま
らなさそうに視線をずら
した。        

「丸井ブン太!‥少しは
知られてんだぜぃ?」 

「へぇー。」     

「へぇーって酷えな。」

あはは、とまた私は笑う
。          

「嘘だよ!丸井くんかー
!じゃあ、これから知っ
ていけばいいね!今日か
ら友達だ!」     

「‥おう。」     

「あ、そういえばよくこ
の場所わかったね!隠れ
て普通の人わかんないの
に!」        

「幸村くんに教えてもら
ったんだよぃ。」   

「ああ、なるほど!だか
らかー。丸井くんも花が
好きなんだね。」   

「いや、まぁ、‥綺麗だ
なと思う。」     

「綺麗だって!よかった
ね!」        

そう言って花たちに笑い
かける。ゆらゆらと小さ
く揺れた。      

丸井くんはさっきから何
か言いたそうにそわそわ
としている。しばらくす
ると丸井くんは何かを決
心したように顔をあげた
。          
           

また甘い香りが鼻をくす
ぐった。       

「俺さ、今日、」   

「うん?」      

「今日、誕生日なんだ。
だからな、お前に話しか
けたくて‥」     

「誕生日‥ん?え?」 

「お前に一番、言って欲
しくて。」      

そう言った丸井くんの顔
は髪の毛のように真っ赤
だった。あれ今、胸がき
ゅんってなった。   

「幸村くんに、ここの場
所教えてもらって話しか
けようとしたんだけどさ
、恥ずかしくて‥。けど
今日は絶対会いたかった
し話したかったから、思
い切って来たんだよぃ。
」          

あれ、あれれ。また胸が
きゅんってなった。  

「丸井くんは私の事が好
きなの?」      

「は?!や、え、」  

「だってそれ、告白だよ
。」         

そう言うと丸井くんは更
に顔を真っ赤にした。 

また甘い香りが鼻をくす
ぐった。       

「や、えっと、 あー‥
もう!そうだよ!告は、
」          

「おめでとう!」   

「は、?」      

「誕生日おめでとう!」

そしてにっこり笑った。

「私も、丸井くんの事が
好きみたい。」    

丸井くんの目が大きく見
開かれる。私はまたあは
はと笑った。     

そして丸井くんははっと
したように私を見つめて
近寄ってくる。    

甘い香りがまた鼻をくす
ぐった。どうやら甘い香
りの正体は丸井くんのよ
うだ。        

「俺は、ずっと前からお
前の事が好きなんだよぃ
!‥早く気づけばかやろ
。」         

そう言って丸井くんは私
の全身を甘い香りで包む
。          

ばかじゃないよ、そう言
いたかったけどなんだか
心地よくて私は静かに丸
井くんの胸に顔を埋めた
。          

花たちがピンク色の花び
らを揺らしていた。  
















恋を貴方に捧げます


どうしよう、おれ、
幸せすぎる















  100417
  mzsh様へ提出。
  丸井くんを話したくても
  話に行けないシャイな男
  の子にしたかったのです
  ごく満足です^^
  参加させていただきあり
  がとうございました!

丸井誕生日おめでとう\(^O^)/