ショートケーキにチョコレートケーキ、シュークリームにキャンディー。アクセサリー類、服、ワックス、香水、エルメスの財布、グリーンアップルのガムそれから……あと、なんだっけ?
4月20日、晴れ。今日はめでたく俺の誕生日である。やっと15歳、まだ15歳。そんな俺は中学に入るにつれてたくさんの物を貰ってきたと思う。バレンタインデーとか差し入れとか色んな時に貰ってたけどやっぱり誕生日が一番収穫日なんだと感じた。なんせスクバの中には入りきらずジャッカルに貰った紙袋とかに入れて無きゃ持てないほど、こんなこと漫画の中だけだと思ってた。おめでとう、ありがとう、このやりとりを何回したことか。
「あ、先輩ちわっす」
「よお」
「うわ…、相変わらずのプレゼントっすね」
「まあなー、いいだろ」
「あー、まぁ。つかこれ頂戴」
「はぁ?馬鹿じゃねえのお前。駄目にきまってんだろ、全部俺が食うんだよ!」
そんな赤也をあとに家へと帰ろうとしたら紙袋へ何かを入れられた。何すんだこいつ。キツく睨んだらへへっと軽く笑う。いや、俺今怒ってるからね?こいつわかってんの?いや、馬鹿だからわかんねぇか。
「はい、プレゼント!」
「…へー、赤也にしてはやるじゃん。で、なにくれたの?」
「飴っす」
「あめぇ?」
「はい、えっ、嫌っすか?」
「……いや、じゃないけど。まぁ、いいか。ありがとな」
「どうもっす!」
にこにこにこにこ笑いやがって、飴がプレゼントってなめてんのか。でも赤也らしいっていえば赤也らしいか。俺は1つ礼を言ってから家へと帰った。
「…」
「おー、凄い量やのう」
「…」
「そんな量一人で食ったらまた太るな」
「お、おまえ…」
「ん?」
「今日休みじゃなかったのかよ!」
家についたら玄関に今日学校を休んだはずの仁王がいた。俺の誕生日だってのに休みやがって、と朝呪っていたことをふと思い出した。普通休まないよな、うん休まない。なのに休んだコイツはおかしいんじゃないか。
「……まってたのに」
「うん」
「なんで、休んだの」
「うーん…」
ぶっちゃけ俺は誕生日とかイベントごとが大好きで、その大好きな日とかは大好きな奴と出来るだけ過ごしたい。だから、昨日の寝る前とか夜中の00:00にピッタリに電話くんのかなとか、学校いったら一番最初に抱き締めてくれるのかとか。そんなことばっかり考えていた。まあ結局は仁王からは何にもなかったけど。休んだ理由すら応えてくれないって、なに、浮気か。
「浮気とかじゃなかよ」
「なっ…」
「探してた」
「なにをだ」
よ、と最後の台詞が言い終わる前にいきなり手を伸ばされて腕の中へとおさまる俺。ふわっといつもの仁王の匂いがして何だか泣きたくなった。軽く唇を重ねられればついついキツく目を瞑ってしまう。
「やっぱり探した甲斐があった」
「…」
「似合っちょるよ」
胸元に見えるそれは赤く光る石が埋め込まれたネックレス。あ、そういうことか。これ探してたわけ?これに俺は嫉妬してたわけ?なんかムカつく。いつもせこいことばったかりしやがって、どれだけ喜ばせれば気がすむの。
「寂しい思いさせてごめんな」
「いいよ、もう」
「…誕生日、おめでと」
「うん…」
「好き、…大好きじゃ」
「おれ、も」
自然と重なりあった唇はけして深いものではないけれど、嬉しかった。どのプレゼントも貰って嬉しい、けど、どれよりも仁王から貰ったものが一番だと俺は思った。
20100420 ----------
企画mzsh!様にて提出いたしました。
まとまっていない文章もうしわけないです。参加させていただきありがとうございました!
丸井くんに幸あれ、お誕生日おめでとう^^
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