捧げもの | ナノ

二月といえば・・・?


『おいママン、準備はバッチリか?!』

「ええ、滞りなく…貴方はもう24なのですし、そろそろ自分の事は哲と呼んでほしいのですが…」

『あ゛ん?そりゃぁ無理な相談だな、もう変えられねェ。てめーは永久のママンだ!!ったく、ヒバリにはそんな事一言も言われたこと無いってのに。』

「貴方も同じ雲雀でしょう?恭さんも本心は下の名前で呼んでほしいはずですよ。」

『…うん、実は私もそれについては非常に不便に感じている所さ。』


何時だったか、雲雀様、と誰かに私が呼ばれてて。てっきりヒバリを呼んでるもんだと思ってたから、スルーしちゃったんだよなーメンゴ!!チェルベッロ!!

まぁでも十年もそれで呼び続けてきたからな今更変えろって言われてもねェ…なんか、アレだよ……ダメだよ。


「何がどうダメなんですか」

『何がダメだと?!それは一番てめーがよく知っているはずだ!!!』


マイハズバンドが運営している会社――名を並盛風紀財団。

その長は丸い蜜柑のような頭をしており、部下はリーゼントだけという異色な職場。つーかむしろどこの仮装大会?

そんな彼らがスーツをぴっちりと着こなしている姿が、また不思議で。

最初ここに来た時には唖然としたものだ。リーゼントがデスクワークしてる…!!ってね。


さて、その長とこの前ピ――をして(決していやらしい意味のピーじゃない。二字熟語が恥ずかしくて言えないだけ)見事苗字が変わった私。


そして今月の二月の初め。

リーゼント達が奴に私がバレンタインをあげるのか?と問い詰めてきた。

あまりにもしつこいのでリーゼントをバラバラにしてやった。

私はブチ切れた。


『今年は誰にもやらねぇ』


そう宣言した。

それと同時にあることが私の頭の中を駆け巡ったのであった。

それは一体なんなのか…果たしてヒバリはバレンタインの恵みを受け取るのだろうか…

次回!!最終話!!『衝撃の事実!! ーあの時交わした約束は今ー』


「何でもナレーションで話が進むと思ったら大間違いですよ。しかも何話を終わらそうとしてるんですか、最終話って…あの時ってどの時ですか。」


『黙れなのであった』



***

「恭さんは…怒るでしょうね…」

ふと、ママンがため息をついた。

『そりゃぁ誰だって怒るさ。』

ヒバリの寝室の隣の部屋に私たちは隠れていた。

息をひそめ、ギュッと手の中のモノを握りしめる。



目を閉じて、心の中で神様に思う。

――どうか、成功しますように――と。


「いいですか、私は決して関わってませんからね。貴方が考案したものですよ。」


ママンが自分に言い聞かせるかのように、耳元でなんか言ってる。





そう、これは私が考えた―――いたずら。






手の内にあるのは大量の――







――豆。









『バレンタインだと思った?!甘い企画になると思った?!フハハハハハ!!!二月と言えばチョコ?!愚かな考えよォ!!!そんなふわふわピンクい感じにすると思ったか!!目指すは不破不破じゃぁぁぁぁぁぁ!!』

「ちょ、黙ってください。恭さんにばれますよ。」

『ブワハハハハ!!!お前を豆人形にしてやろうかァァァ!!』



スパンッ!!



「うるさい、何やってんの」

『あ、ヒバリ(鬼)』「恭さん!!」


ちっ、ヒバリに気付かれぬよう部屋中を豆だらけにしてやろう作戦が台無しになっちまった…こうなっては仕方がない。



『いくぜ野郎共ォォォォ!!作戦通りでいい!!豆を投げつけろぉぉぉ!!!』

「「「おおおおおお…おお、お………」」」



スパンッスパンッスパンッ………パアアアンッ!!!!!



『オイィィィィ!!!何があったァァァ!!』

勢いよく襖を開けたかと思えば、これまた勢いよく閉じられる。

何今の音。閉めるときの音が障子壊れるんじゃねーのってぐらい、でかかったよ。


奥の方からはヒェェェだのウギャァァァだのホアッチャッホウッだの、意味不明な叫び声が聞こえ、姿は見えなかった。

敵前逃亡、ふん情けない奴らだ。草壁までこの混乱に乗じて姿を消した始末。


まぁいいさ。怒られるのは百も承知。怒られるときは二人より一人の方が怖くないって、誰かが言ってたもの!!




……あれ、ちょっとまて。コレ今私ひとりじゃね?



「どういうことか、説明してもらえるかい」

ゴゴゴゴゴゴ…とよく漫画である効果音が付きそうな登場をしながら、鬼と言う名のヒバリピヨピヨはガシリッと私の頭を掴んだのであった。

『……ホアッチャッホウッ』


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