年賀拍手文A
コトリ、と置かれる漆塗りのお椀。
その中からは食欲をそそるような甘い匂いが漂い、真っ白な湯気を放つ。
「ああ、ついでに年賀状できたのでここに置いていきますね。おかわりが欲しかったらいつでも言って下さい。たくさんつくりましたので。」
『おかわりィィィ!!!』
「食べてもいないうちに言わないの」
うるせェよチキン。
おっ参拝の人数も減ってきたな。そろそろ休憩いれるか。
シャッターをタイミングよく閉め、お汁粉へと手を伸ばす。外の方でチクショ―だの開けろだのという声が聞こえてきたが、無視する。
食欲に背に腹は代えられないからな。あれ?意味合ってる?
七輪で焼いていたヒバリの餅も、一つ小豆の汁へと投入。
『…んで?何、年賀状出来たって?』
「ああ、この前写真撮ったやつ。どのくらい前だったかな。」
『一週間前ぐらいだった気がする。』
そう言って私とチキンは年賀状を覗き込む。
隣ではヒバリがそれを見てワォと声を漏らしている。
『なんかツッコミどころがありすぎるな。どこからいこうか…まずは何で背景が空なのか。』
「いや、君が満面の笑みを浮かべている方だね。流石の僕もこれには恐怖するよ。」
『なんでだよ!!』
ヒバリの頭を叩いた。
「…よく考えたら一週間前って確か僕の抹茶マカロンを君が食べたんだよね、だから笑顔なんだ。」
『気にすんなよヒバリ、人間だからさ。』
「人間だからこそ気にする問題だよね。」
今度は私の頭をヒバリが叩いた。
なんだ、地味に痛いぞ、コレ。
『つーかさぁママンがなんでさりげなく奥の方に写ってんの?カメラのシャッター切ったのママンだったよね、何でフライパン?何でエップロン?』
「エップロンて何さ、エプロンでしょ」
『うるせ―!!喉に白玉詰まらせたんじゃい!!』
「餅でしょ、何テンパってんの」