年賀拍手文
新年――1月1日、元旦。
世間一般に元旦と呼ぶこの日は、年の始めとして各地域の寺院や神社に参拝をする人が一番増える日付である。(多分)
そう、初詣だ。
今日は寒さこそ底冷えするような気温だが、雪も雨も降らず、雲すら見えない。
快晴、人はこの日を初詣日和という。
…私はそんな言葉を聞いた事ないが。
さて、年末によくニュースとかで皆様はよく見ている、あるいは映っていることもあるだろう。
除夜の鐘が鳴り響く、夜中の十二時辺り。
友達や家族、あるいは恋人といった親密な関係を結んでいる者同士で、神社に集まり今年一番の参拝をしてやろうと目論む人々を。
自分たちはワイワイして楽しいね、ウフフみたいな感じで新年一番の思い出になるね等とワクワクしているのだろう。
だがしかし、神社を運営、そして家業としている者としてはどうだろうか。
『果てしなくめんどくせェェェェェ!!!』
「ちょっと、ちゃんとまじめに働きなよ。」
後ろの方からヒバリの声がかかる。
そう、この並盛町も例外ではない。
まあよく極寒の様な夜中からぞろぞろ人が集まってくるもんだ、と感心するのも束の間。
すぐに並盛の唯一の巫女である私はその混乱の中へと巻き込まれていったのである。
最初はお参りしてるだけだったから、よかった。
余裕で紅白だって見れた。
しかし、日がでてくると次第に参拝した人々の中からお守りを買いたいだの、という声が出てきたので、しかたなく窓口で受け付けを始めれば何この行列。
その中にも見知った顔がよく見えるのだが、まぁそんなことはどうでもいい。
…いや、待てよ、今ダメツナが恋愛成就のお守りを買ってったな。これは後でリボーンに報告しなきゃ。ぷぷぷ。
「お汁粉ができましたよー」
おや、ママンの声だ。
『こっち持ってきてよー今忙しいから離れらんない…つーかヒバリ、動けよ、手伝えよ。』
なんで部屋の中で七輪持ってきて餅焼いてんの?
「僕が受け付けをやったら群れてる装飾動物たちが逃げて行ってね。」
『装飾違う、せめて有機物に例えてあげて。草食にしてあげて。』
「似たようなもんでしょ」
『似てねェよ。』
まあしょうがないよ。
夏祭りのときだってそうだったじゃん。皆ビビってたもんね。