短編 | ナノ

紫雲の吐息で聞かせて後編!!


『雲雀さーん』
返事がない。ただの屍のようだ。

…いや、マジで。何ガチ寝しちゃってるの。

ココは並盛中学校屋上。
地上から約100位(多分)離れた場所。
そして今日は日曜日。
彼氏は今、私の膝の上で熟睡中。

ほんと、何がしたかったのあなた。
出かけたかったんじゃないの、私と。

…まぁ、自惚れるのはここまでとして一体全体私はどうすればいいのか。

玄関まで迎えに来てくれた(不法侵入)彼には感謝しよう。
そこからバイクでここまで来たかと思えば、混乱する私を差し置いて屋上まで連れて行き、夢の世界へと羽ばたいて行ってしまった。

そういえば、雲雀さん寝不足だったのかな。最近、風紀の仕事が忙しいって会ってなかったし。
思えば二人きりになるのも久々だ。

私はふと、空を仰いだ。

真っ青の青空に温かい日光を浴びせる太陽。
その太陽を時々覆う、陰でほんの少し紫色に見えるフワフワとした雲。

雲は雲雀さんとよく似ている。
名前もだけど、雰囲気や存在感それと…

「ちひろ…」

…寝言、か。

私の名前を呟く、それだけで心が安心感に包まれていく。
寝ている彼の額に私はそっと、口づけを落とした。
そう、まるで空を覆う雲のように、私を覆ってくれる貴方だから。

『雲雀さん。』

私はずっと貴方についていく。
例え、どんなことがあったとしても。

雲雀さんの隣にいるだけで――

―――私は、幸せ―――


「…聞こえたよ。」
『ひっ、雲雀さん?!』
「君が隣にいる、それだけで僕も幸せだ」
『!!(なんて恥ずかしい!!嬉し…やっぱ恥ずかしっ!!)』

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