紫雲の吐息で聞かせて前編!!
「ちひろ、今日は二人で出掛けようか」
「え!?」
「なにをそんなに驚くんだい」
「…いや、珍しいなって…」
「たまにはいいでしょ」
「は、はあ…」
電話ごしに聞こえた声はいつもよりわくわくしている。
雲雀さんにしては珍しいけどたまにはこんなこともあるんだなぁと思った。
携帯の通話終了の文字が画面に表示されてから、何分経っただろうか。
ブォンブォン、と自宅の前で大きなエンジンの音がしたかと思えばインターホンのチャイムが鳴らされる。
慌ててドアを開けようと階段を降りて行けば、彼はもう玄関口に立っていた。
「早くして、置いてくよ。」
いや、あんたが言い出したんでしょうが、と口を開こうとした私はあることに気が付く。
「なんで雲雀さん、私の家の中にいるの」
一体どこで手に入れたのか、雲雀さんの片手には私の家の合鍵が。
「居たら悪いかい?」
しらを切る雲雀さんに私は溜め息をついた。
…もう何も言うまい、彼に一般常識というものが通じないのはいつもの事じゃないか。
「で、どこに行くんですか?」
まさか私服で学校に行くわけないよね。
すると雲雀さんの口から出たのはまさかの言葉だった。
「屋上。」
つづく!!