雲雀恭弥誕生日会2014
『どうも皆さん並盛ちひろです。こんにちは。今日は何の日だかご存知でしょうか?…そう!!五月五日、言わずもがなマイベストフレンドゥの心の友ヒバリン氏のお誕生日です!!!
若干のサザエンヌ一家方式での年を取らない設定が残っているこちらの世界でありますが、月日はめぐるわけであります。
皆さんは覚えているでしょうか、昨年の彼のお誕生日。私は男どもにプレゼントは何がイイか聞きまわり、無駄足に終わったのを。
記憶にあるでしょうか、悩みに悩んだ末。紙にハンバーグの文字を書き、その後知恵熱で本日の主役に看病させたという、あの恥をさらした姿を!!!……えーっと…今回はそんな過去の黒歴史を抹消すべく……・・ママーン!!!これもうちっと短い冒頭の文章にできなかったんかい!!!セリフ多いわ!!!』
「あっ待ってください。まだビデオレターの方の準備がまだ」
『オイ何はしゃいでんだオイコラ』
ここは並盛中学校。私の家だと思った?残念体育館倉庫の中でしたー!!!
ヒバリの誕生日プレゼントには何がいいのだろうとママンと部下数名、ヒバリから一番愛を享受されているMr.ヒバード氏をゲストに迎え、私並盛ちひろは司会をつとめさせて頂きます〜どうぞよろしく!!!
…あれ、ヒバードってオスなんだっけ、メスだっけ?
『まったく…なんでこんな狭いところに肩パットと前髪ヤバイ奴らといると思ってんだ。さっさと案を決めないと、このまんま日が暮れるわ。』
「ヒガクレルワ!!」
羽をばたつかせるヒバードをママンが優しく制した。奴にばれるといけない。あんまり声は出しちゃいかんな。
声を低くし、肩を寄せ合い、額にはごわごわとしたフランスパンがあたってしまうが、まぁ我慢しよう。
「やっぱりビデオレターにした方がいいのでは…?委員長も喜ぶかと。」
『あんなもん、あの人は見る前にいらないって窓から捨てんじゃないの?』
「いや、やはり去年のように副委員長のハンバーグを…」
あーだこーだと言い合ううちに、私は段々飽きてくる。まったく、熱くディ…でぃすかっしょんなんかをしやがって。こっちまででぃすかっしょんな気分になってくるんでぃすかっしょん。
因みにでぃすかっしょんって言葉を使ってるのは私が頭いいですよ、みたいなアレじゃないんですよ。ちゃんと意味をわかった上で使ってるからね!!!語尾に付けるアレでしょ!!!アイ ノウ!!!知ってる!!!
「ちひろさん違いますよブフッ」
『シャーロック モブ!!!』
「Shut up!ね。」
俺の方が頭いいんスよって私をバカにしたモブがよくわからん事言ってきたから、黙って奴を窓から放り出す。うんこれでスペースは確保できたかな。
「…で、どうする。もういっそのことアレをやっちゃうしかないのかもしれない…」
「アレを…?しかし副委員長、それは…!!!」
『オイ何だよアレって』
「致し方ない…もう時間は昼の十二時…ゴールデンウィークとは言え、恭さんの聖なる日の時間は刻々と過ぎているんだ…」
「くっ…分かりました、それでは俺は他の奴らにもアレを伝えてきます…」
「ああ、頼んだぞ。」
『だから何だよアレって。もしかしてアレか?!でぃすかっしょんのことか?!』
「…」
おいこら無視こいてんじゃねーぞ。今ママンが恭さんって言ったの恭さんにチクってやろうか!!!
頭の上のフランスパンをパン粉にしてやろうかと、力の限り捻ってやれば、彼は私の肩をガシッと掴んだ。全然痛くないけど。
『え』
お前、今日のパン…フランスパンじゃないじゃん……
さて、ママンのリーゼントの中心核…いや、草壁としての核となる部分がフランスパンだということは皆様もご存じかと思う。それが今日は全然固くなかった。依然として捻っていてもパン粉は振ってこない。それもそのはず、今日の彼は柔らかな食パンが丸まっていたからだ。なんてこった、ママンのアイデンティティが!!!
ショックを受けているうちにいつのまにやら布団で私の体はグルグル巻きにされ、応接室へと運び出されていた。
風紀委員としての仕事しろよ!!働けリーゼント!!!
バンッと扉が開かれる。
「委員長!!!!お誕生日おめでとうございます!!!我々からのプレゼントです!!!」
「僕の前で群れるな、咬み殺すよ」
「「「「ハッ!!!」」」」
『ハッ!!じゃねーよ!!!私が咬み殺してやりてェ!!!』
てめーらをな!!!と睨みつけながら叫んでやれば、ワーッとクモの子を散らしたように彼らは逃げて行った。ご丁寧にも扉を閉めて。
残されたのは、私とヒバリ。
部下に冷静な一言をくれてやった彼だったが、まさか私がプレゼントだとは思っていなかったのだろう。仕事の手を止めて、パチパチさせていた、目を。手だったら簀巻き状態のまま奴に体当たりをかましているところだ。
『えーっと…はっぴーばーすでぃ!!ひばりん!!!』
「チェンジ」
こいつ、間髪入れずに言ってきやがった。
「ベタ中のベタ過ぎるよちひろ。私がプレゼントですだって?そんなのベタ過ぎて逆にベタじゃないから……まぁいいんじゃない」
『ちょっと何言ってるのか理解できない。』
なんだよベタ過ぎて逆にベタじゃないって、ベッタベタじゃねーかコノヤロウ。何?そんなに私にベタベタしたいの?シールなの?ねぇチキンシール発売中なんですか?ねぇねぇ
「君も相当頭ヤバイね」『何言ってんだいつも通りだろ』「ああ、そうだった」『…ん?』
しまった墓穴を掘ったか、と気付いたころにはヒバリが私に歩み寄ってきて、体をくるんでいた布団の紐を解いた。
クルンッと弾力のあるオフトゥンは、応接室の平らなスペースにひろがる。床がちゃんと掃除されている…昨日まで埃がたまりまくってたのに…ママンめ、最初っからこのつもりで!!!
「好きだよ」
ヒバリが私の隣に寝そべりゆっくりと目を閉じる。掛け布団代わりにしたいのか、羽織っていた学ランをバサリとかけてくれた。アレ?コレ私の誕生日じゃないよね、ヒバリのだよね。
「こんな昼寝と誕生日、それと君もね。」
ポンッと頭をたたかれるもこちらとしては複雑な気持ちだ。なんか接待されているような気がするのは気のせいかな。…ん?今なんて言ったこのチキン
『…私を昼寝とイコールで結び付けてたんか、い…・・』
そう口では言ってみるも、不覚にも顔が熱くなってしまったのが奴にばれてしまったようで、なにやらヒバリも気恥ずかしくなってしまったのか、二人で仲良く枕に顔を埋めることになった。
とは言っても、布団と枕は一つしかないから。体を寄せ合う事にはなるのだけど。その温かさに眠くなってしまって。
まどろむ意識の中、起きたらゴールデンウィーク中にも関わらず毎日学校に来て仕事をしている彼の肩でも揉んでやろうかなと思ったのでした。