087 寝ている時間が何だかんだ言って一番幸せ
前回のあらすじ… 『なんて奴だ…私の知っている唯一の外来語を完璧に使いこなしているだと…こいつ、できる!!!』 ピシャァァァンと全身に稲妻が走るような衝撃を覚えた並盛ちひろ十四歳。 果たして、彼女は目の前にいるヒバリンゴリラッキョウこと雲雀恭弥を倒すことができるのであろうか…
次回!!最終話――名前はやっぱりヒバリンゴリラッキョウララクダリアの方がよくね―― 二時間の超絶スペシャルでお送りいたします、皆!!見てね!!!
「いつまでたっても倒せないと思うけど。」
おっとォ、自分の名前についてはあえてのスルースキルを使いやがったか、なるほど。十年も経つと少しは芸人魂が薄れてくるんだな。もうちょっと気の利いたツッコミが欲しいところだった!!ヒバリンマイナス10ポインツゥ!!!
「くだらないこと言ってないでさっさと着替えなよ、まだまだ未来編はつづくからね。」 『わぷっ』
ヒバリは布団から立ち上がり、クローゼットの中から何やら布を取出して私に投げつける。 何だコレ、ワイシャツ?
「どうせ着替えがないんでしょ、神社にある君の服は……高価な巫女のヤツしか無いし。僕の着るしかないじゃないか。」
いや、でもこれ… バサリと無地の白いワイシャツを広げれば、私のひざ下まである丈の大きさのモノ。
ヒバリも成長してるんだねェ…なんて思わねェよ、私は。そのうちテメーの背丈を抜かしてやるからな、ピヨピヨチキンめ。
『いやでもこれじゃぁ私が着たらブカブカじゃねーの、もっとマシなのないのか?』
つーかチキン、私の目の前で着替えるな。スーツのズボンに履き替えるな。パンツ見えるぞいいのか、コノヤロー。まぁ私は全然気にしてないけどね、目に入ったら痛いけど。
ったく、ちょっとぐらい意識したらどうだ、ちくしょうめ。そんなんじゃお嫁にいけないぞ!!……ん?お嫁?…あれ?ああ、婿さんだよ、嫁じゃァ女になっちまうな。 ヒバリが女になったら…ぷーくす!!!想像しただけでも…寒気がするぜ。
「僕が婿に行けなくても、君が貰ってくれるんでしょ?」 『は?』
何、アラビア語で喋んないでくんない。私そこまで外国の言語は嗜んでない。
シュルリと紫色のネクタイをシャツの襟に通して、こちらを毎度同じく斜め下45ドヤで向く彼。
十年もの月日が流れたヒバリのそれだけの仕草が妙に、そして無駄に色気を放出している気がしなくもない。 タグをつけるのであれば…そうだな。“無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き”とでも…アレ、なんか違うな。 まぁだからなんだっつー話ではあるのだが。
そしてチキンよ、お前恐ろしいほどにネクタイの色のセンスねェな。紫はねーだろ。
『誰がいつどっかのフライドチキンを婿に迎えるだって?耳をトイレで洗浄してからもっかい出直してこい。』 「確か二三年前だったかな…いや、十年前のことだ。言ったんだよ、ちひろが。僕にね。」
これでいいかな、と彼は自分のさっきまで着ていた浴衣を拾い上げ、私の近くにやってくる。 なんだ、これを着ろってか。てめーのパジャマを?
「コレが僕の持ってる中で一番小さい服。そろそろ買い換えようと思ってた頃だったし…丁度良かった、これを君にあげるよ。さっさと着替えてきて、隣の部屋使っていいから。」 『あんま、嬉しくねェな…まぁ制服のままいるよりはマシか。……着替え覗いたりしたら咬み殺すどころの騒ぎじゃねーからな、覚えとけよ。』
「何言ってんの?幼い君に発情するわけないでしょ。」 『したらただのロリコンだよ、クソじじい』
ほら着替えてきなよ、とせかされ背中を押される際に爪をたてられたのは言うまでもないだろう。
back
|
|