復活 | ナノ




 
 
 
082 このナンバーが100いく頃にはきっと・・・バルス!!



“起きろ…”

『………。』

“起きろ、巫女よ…”

『……んっう』

“…起きろ、おい小さいの”
『誰が小さいのだゴルァ。あん?身長か?それとも胸の大きさの事か?!』


パチリ…なーんて言うか、くそう、塵になれ。


そんな気持ちで瞑っていた目を開ければ、見かけない空間が目の前に展開されていた。

これは夢か?それにしちゃあやけにフランスパンの匂いがするな。


“夢な訳がなかろう、貴様寝ぼけてるのか?バカなんだろう?そうだろ…ん、どうした”

ペラペラペラペラよく舌が回るなこの食用鹿…相変わらずだ

『…チェルヴォ』
“何だ”


ん?相変わらずだっけか?そんな登場回数無くね?プークス!!

おや?いつもコイツが出てくる白い空間がないぞ。


さっきまで私は畳の上でヒバリに耳かきをしてもらいながら至福の時を過ごしていたというのに―――うむ、やはり同じ畳でも私の家のとは全然匂いが違うな…もっと、こう…私の家は……ふるさとの匂いがした!!!

もんもんとする私とそれを無言で見下すチェルヴォ。

その状態がかれこれ数分程度過ぎれば、ドタドタと騒がしい音を立てて隣の部屋の方から大きな足音が迫ってくる。


スパンッ!!!


「ちひろさんっ…!!!」

おや、誰かと思えば見覚えのあるリーゼントじゃねーか。


『ママン…おいおい、ココは何処なんだい?チキンはどうした?まさか南蛮漬けにしたんじゃないだろうな。』


是非味見したい。

つーか今日は学校に行ってたんじゃなかったんかい?


「ああ、10年前のお姿に…本当に起こってしまった、明日が戦いだというのにっどうすれば!!!」


眉をひそめ額に手を当てて、ショックを受けるポーズのママン。
なんだかとても腹立たしく思えるのは私の気のせいだろうか。


『オイ、人の話を聞きやがれ。10年前たァどーゆーことだ?あん?てめっフランスパンバキボキに折ってやろうか?なんでいきなり長くなってんだ。』
「ちひろさん……」

“落ち着け”

『うるせーな、鹿は黙ってろおぼしィ!!』


蹄で、蹴られた。
くそう、お高くとまりやがって鹿肉め。蹄という永久装備をしやがって、そんなもんが無けりゃとっくにお前は私の胃の中に入っているというのに。

「ちひろさん…いいですか、よく聞いてください」

倒れこんだ私の肩をがっしりと掴み、ガクガクと荒く揺さぶる。
それだけならまだアッパーだけで許してやるものの、彼はあろうことか自前のリーゼントをグリグリと私の額に押し付ける。

…ああ、顔を近づけようとするとそうなるだけか。

彼にとっては至って真剣に話をしているつもりなのだろうが、端から見ればただのコントにしか見て取れないような絵ズラだ。


「…実は―――――という訳なのです」


ふむ、そのまま話すと長いので省略するが…まあ私ももう一度説明するのも面倒なのだがこればっかりは致し方あるまい。

よーするにここは十年後の世界で、ここはヒバリのお屋敷「ふーきざいだん」で。
元の世界に戻るために十年前から来たダメマグロもといダメツナ達は明日敵のマフィアん家に殴り込み…っと、うむ、なるほど。


『何がなるほどだバカやろォォォォォォ!!!!』


バァンッ!!と足元にあったお手頃サイズの箱をリーゼントに投げつければ、彼は障子を突き破りズガシャァァァァァ!!!っと派手な音を立てながらフランスパンを粉にした。

ん?箱?

ママンにぶつけた箱を拾い上げて、ちょっと上下に振ってみる。うん、鈴じゃあないようだな。
オルゴール?サイコロステーキみたいな形してんな、オイ。


「そ…それはボックス兵器ですっ…簡単に言えば炎を注入口に入れると開匣し、武器や戦いのアシスタントをする動物が入っています。そうですね、ちひろさんの場合はそこにいる雨鹿でしょう」


ボロボロになって這い上がってくるママン。ここ十年でかなり進歩したものだ。十年前の彼なら今の私の攻撃を受けたなら、動くことはできなかったはずだ。
結構力入れたのにな…くそ、むかつく。


『チェルヴォが兵器?』


何故?だってアイツは夢ン中でしか会ってない。十年後になったら会えるのか、そんな運命はご遠慮したいな。だって蹴ってくるんだもの。


『ま、いいや。ヘイッカモン!!チッチッ…チェルヴ…痛い痛いっ!!ちくしょう、だから嫌だったんだ!!』


何故十年後の私はコイツを兵器にしたんだろうな、まったく、十年後の自分を殴ってやりてぇぜ。


「炎は通常、リングを通じてボックスに注入されるのですが、ちひろさんの場合は体内の波動が強く、しかもコントロールができないとのことで人差し指をボックスの穴に入れての開匣となります。」

ああ、ほんとだ。穴が指の大きさにフィットしてやがる。でも…

『……なんか、ださくね』

「……。」


おい、ちょっと冗談のつもりで言ったのに黙んなよ。

本当にそう思ってたのか?オイコラ、こっち向けよ。オイ目ェそらしてんじゃねーぞコルァ



今日の絵日記(仮)
ママンのフランスパンが長くなってダサかったので、全て粉砕。予備のやつも半分に折ってやりました!!楽しかったです。チェルヴォ…ウソウソごめんなさい、ちょ、蹄を研がんといて!!なんかめっちゃ鋭くなってるからァァァァ!!!!!ウソこいてごめんなさい!!!

みんな!!ウソをつかないようにしようね!!!

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