061 足元からパキッて音するとあんまり気持ち良くない。
並盛中学校――
いつも見ている風景とはいえ、夜という視界の暗さとこれから隣に居る彼が死闘を繰り広げるという条件のもとに空気がピリピリしているように感じてしまうのは、気のせいだろうか。
『んーいよいよだねェ。やっぱりヒバリでも緊張するの?』 「緊張?…僕がそんなのすると思うかい?」
どうやらその張本人の方は平気なようだ。
『ハイハイ、ドヤ顔はもうやめようか。ちょっとドヤのネタも古くなりつつあるし、そういう顔はやめよーねー』
そう言って並中の校門をくぐっていく。
パキッ
…何か踏んだ。何か嫌な音がした。
恐る恐る靴をどけてみれば……かびた、パン?
パン、と思ったところで、同時にある人物の顔がフッと出てきたが…何も言わないでおいてあげるよママン草壁。 君が夜まで学校を巡回していた、それだけは評価しておいてあげよう!!
なんかいい事言ったよ私。やっぱ他人をほめることも大事だよね!!!
「君達……何の群れ?」 「んだとてめー!」 『おやおや皆さんお揃いで。』
チンピラ(獄寺)に空気(山本)、ブラック笹川兄(笹川)か。んーなんか人員が足りない気がする…どうでもいいけど何かが欠けている。
そう、例えるならブドウの種みたいな。 あってもなくてもウマけりゃどっちでもいい存在だ。
チラリ、とヒバリは隣に居る私を見てきた。
どーしたヒバリン…何?ちひろは僕の邪魔をしないでね?何だよ、心配しなくてもヒバリが死にそうになるまで手は出さない。
死んだら好き勝って暴れ(追いはぎ)させてもらうからな。
『まあでも、雑魚を倒したところで得るもんは(財布ぐらいしか)ねェ。…どうせだったら大将の首(リッチな財布)ぐらいは取りてェな、私だったらだけど。』 「…ふうん」
すると彼は視線をトリオに戻し、一言。
「目障りだ、消えないと殺すよ」
おーいヒバリー咬みが抜けてるぞー。そして斜め四十五度の角度は止めようね。
「なんだその物言いは!!極限にプンスカだぞ!!」 『テメーの言い方の方がうぜーよ。』 「何?!おお!!並盛ではないか!!小さくて気がつかなかったぞ!!」 『んだとゴルァ』
右手を怪我しているが、関係ねェ。 私は奴にアッパーを繰り出してやった…チッ避けやがったか。
すると体が宙に浮いたかと思えば、首が締め付けられる。
「まーまー落ち着けって、オレ達は偶然通りかかっただけだから」 『いや、明らか違うよね。結構前からスタンバってたよね。つーか襟元掴むな!!苦しっガハッ!!ゲホッ!!』
おおう、やっと地面に足がついた。
ザッザッ!!!
「!!」
後ろを振り返れば、煙かグランドの土埃かわからない煙を体に纏い、グオングオンと音を響かせている、奴の姿。
『カスのご登場だよ、ヒバリ』
ゾクリ、と体中が波打つ。
「そうか…あれを」
カチャリと静かにトンファーを構えた。
「咬み殺せばいいんだ。」
「(咬み殺す?)あいつ…またそんな無茶な事を・・・」 『そーゆー意味じゃねーよバカ。』
私は変な妄想で冷や汗をかいている笹川をバシッと叩いた。
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