復活 | ナノ




 
 
 
060 上着を肩に羽織ると中二くさい。



ドゴォォォォォン!!ドゴッ!!ガキィィィン!!ドオォォオン!!

轟音が鳴り響き、土煙が立て続けに舞い上がる。
激しく武器と武器とがぶつかりあい、時に火花を散らした。

煙の中からチラリとのぞくのは、二つの影。
土手であり緑がよく映えるこの土地は、二人の荒々しい戦闘の痕跡が目立つ。
大きな地割れや坂がえぐられて、茶色の土がむき出しの状態になっていた。


ドゴォッ!!


『……っ!!』

ひときわ大きな音がしたかと思うと、辺りは静寂に包まれていった。


「ちひろ、腕をあげたね」
『いや、上げられないんですけどォォォォォ!!』

くっ、ヒバリめ。私の幣を片手ごと地面にのめりこませ、腕の動きを封じるとは…
グッと右腕に力を込めるが、びくともしない。

ちょっと、痛いんだけど。コレ、土の中にある石と掌がこすれあってるんだけど。

いてっ

アリに噛まれた…何?俺たちの愛の巣を壊すな?うるせーよリア充。
あれ、ちょっとまって、これ…反対にして読めばアリじゃねーか。

「よう、恭弥。お前の試合は今日だと言…何してんだ?」
『よう下まつ毛、見て分かんない?馬鹿なの?やっぱり馬だから馬鹿なの?』

「なっ!!んだと!!オレだってなぁこれぐらい分かる…その、なんつーかアレだ、腕が上がらない。」
『ブッブー正解はアリに噛まれた、でしたー』
「あ〜くっそー」

「…。」

そんな様子を冷ややかな目で見るヒバリ。
目は口ほどに物を言うとよく言ったものだ。
“馬鹿”としかその瞳には映っていない。

なんて失礼な。

『へー今日か。だからこんな気合が入ってたんかヒバリよ。朝っぱらからぶっ続けじゃん、お腹すいてきた。』
「対戦相手はゴーラ・モスカ。ヴァリアーのボス補佐を務めている。」
『ふーん』

モスカ、ねェ。顔に落書きしても何も怒んなかった奴だ、フシューって言ってただけ。
空気みたいだったなーイタリアの山本みたいなポジション?

『ま、いいや。ヒバリィ聞いてくれよ、庭に温泉が湧いたんだぜ。すごくね?』
「知ってるよ、朝君を起こす時に見たから。」

『チッ……ママンがお風呂用に徹夜で石とかタイルとか貼ってくれたんだぜ。すごくね?』
「知ってるよ、朝入ってきたから。」
『……。』


こいつ、いつの間に。


『やはり貴様は我が武器にて、墓へと葬らなければならない奴。…私よりも先に温泉を堪能した罪、しかと黄泉の国で悔いるがいいわ!!』

「いいよ、もう少し僕もストレスを咬み殺しておきたいしね。」

カチャリとお互いの武器を構え、私達はまた地面を蹴り上げた。


ドゴォォォォオオン!!!!


…つーかストレスって咬み殺せたの?

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