058 珍しい名前より、簡単な名前の方が記憶に残るのさ。
「―――失礼する!!レヴィ隊長!!」 「どうした。」
嵐のリング戦が終了した後――
白髪のロン毛と黒髪の短髪が、睨み合いそしてニヤニヤしているとき――
ダメマグロこと沢田綱吉が、頬に絆創膏を貼りつけているとき――
ママン草壁がちひろのリクエストである温玉カレー(甘口)を朝食用にと、ラップに包んで冷蔵庫に入れているとき――
黒ずくめの男(コナンではない)がいきなり現れ、自分の上司である男の名を呼んでいた。
「校内に何者かが侵入しました。雷撃隊が次々とやられています!!」 「!何?!」
ダメツナ以上に絆創膏をつけている傘を背負ったおっさんは、眉をひそめた。
「だから言ったろ?着々と守護者が揃って来てんだぞ。」 「え?」
一方でくるんと、もみあげにパーマをあてた赤ん坊はにやりとほくそ笑んでいた。
その視線の先には――
「僕の学校で、何してんの」
――愛用の武器であるトンファーを構えた彼と、
『……っ、腹減ったァァァァァ!!ヒバリてめー足が速いんだよっ今の行動でどれだけ私の労力と体力と精神力をすりおろした事か!!愛しさと切なさと心強さの比じゃねーぞ!!ゴルァ!!』
「すり減らした、ね。」
――息を切らし、挙句の果てに母国語を使い間違える純日本人の彼女。
「ヒバリさん!!ちひろちゃん!!」
ダメツナが目の前で歓喜の声を上げる。 が、そんな彼の言葉もむなしく、ヒバリは冷たく言い放ったのだった。
「校内への不法侵入及び校舎の破損。連帯責任でここに居る全員、咬み殺すから。」 『おいおいチキンボーイよ、私も含まれてるのかい?」 「ちひろは追いはぎしたお金、三分の二出してくれたらそれでいいよ。」
やった!!と私はガッツポーズすれば、そばに居た黒ずくめの男Aが自分の胸ポケットを触り、財布がないと騒ぎ始める。
うるさかったので一発腹に決めたら、静かになったよ!!
「ん…?お前は……」
不意に、なんか聞いた事のある声が耳に届く。
オイオイ、勘弁してくれよ。何かオラやな予感がすっぞ…あれ、前にもこんな事なかったっけ? それよりもなんで、こんな所に…
首を機械のようにゆっくりと回し、振り返る。
落ち着け自分!!お前は機械なんかじゃない、ラジオでもない…壊れかけのレディ、オクラはあまり好きじゃないだ!! あれ、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきたぞ。
視界に映るのは、真っ黒な隊服をきた人間ども。 チェリー(チェルベッロ)が言っていた、ボンゴレという名前。 マフィアと思われる、奴らの部下とそのリッチな財布の中身。 小さな赤ん坊、金髪ティアラ、変態二人の内の片割れと―――白いロン毛。
できれば会いたくなかった。
「―――ちひろかぁ?」
『スッ…スクボーロ。』
「うお゛お゛お゛い!!!!一文字ちげぇぞぉ!!!」
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