053 何が一番辛いって、腹が減る事なんだよね。
煙が、晴れていく。
今の一撃に、手ごたえは十分にあった。 でも、何かがおかしい。
私は見えずらい視界をじっと見つめる。
「〜ってぇなぁ、今のは危なかったぜ。」 「!」『!!…チッ、生きてたか』
脇腹を押えながらも、煙の中からユラリと姿を現す下まつ毛ヤロー。 後ろの方で控えている彼の部下が、ホッとため息をつくのがわかった。
「ちひろ、もう満足したかい?次は僕の番だよ」 『いいや、私はまだ奴をミンチにしてもいないし、あの長ぇ下まつ毛も狩ってない。まだまだだね!!』 「先に僕が咬み殺していいって朝言ってたでしょ、その後のボロ雑巾は好きにしていいから。」
ボロゾーキンってオレの事か?!なんて声が聞こえるけど…無視!! つーか、ンなもんいらねーよ。誰がそんな…
ビュウォッと鋭い風が吹いたかと思えば、それはヒバリのトンファーで。 気がつけばソレは私の頬にピタリと当たり、ヒヤリと硬くて冷たい感触をくれた。
…いや、くれたなんて言ってる場合じゃねェ。
ガキィィィン!!
『ちょっと、そんなふて腐れんなよ。いきなり勝負を勝手に始めちゃったのはゴメンよって謝るからさァ…ゴメンよチキン!!』
幣で彼の武器をはじき返す。
「ゴメンなんて思ってるなら僕と戦ってよ。」 『それはそこにいる金髪まつ毛の仕事だろーが!!ほら、ヒバリ、言ってやりな。真剣に僕と戦ってくれないと指輪捨てちゃうよテヘぺロって!!』
ぴたり、と動作が止まる雲雀恭弥(●●歳)。
「…ねぇ、真剣にやってくれないと、この指輪捨てるよ」
ちょっと考えた!!ヒバリ、私のをそのまんまパクっただけじゃなくて、ちょっと捻ってから発言したよ!!
『では私も宣言してあげよう。ねぇ、真剣に殺られてくれないとテメーの髪の毛燃やすぜ。』 「なんで悪意が入り混じってるんだよ!!オレなんかしたか?!つーか燃やすライターなんて物、お前持ってないだろ?」
甘いな、イタリア生まれの金髪坊や。
私は学ランのポケットから普通のより一回り大きい、それを取り出す。 カチッとママン草壁からパクッ――拝借してきたライターはボウッと物騒な音をたてて、大きな炎がともった。
「…わーったよ、じゃあ交換条件だ。真剣勝負でオレが勝ったらツナのファミリーの一角を担ってもらうぜ。ちひろには次期並盛巫女としてボンゴレと同盟を組んでもらう。それでいいな?」
上等だよ、ぜってぇ勝ってやらぁ。
コンクリートにはまっていた幣を引き抜き、目の前の彼を見据える。
「二人同時にかかってきても、オレは構わね…やっぱり一人ずつだな、うん。」
おい、なんで今私の方をチラリと見た? 何?なんでヒバリ、テメーもそんな目で見る?
並中を壊すな?おーい、大丈夫ですかー瞳孔が開いてますよー …まあいいだろう、今日はてめーに譲ってやる。なぜなら私は大人だから!!
『明日は私で。どーせ夜までこの戦いが続くんだろ』 「マジかよ」
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