復活 | ナノ




 
 
 
051 控えようとか言いながらもやり続けるのは人間の性分



ピピピピピピ…ドゴゥ!!

『ったくよォ…毎日毎日ピィピィピィピィ、やかましーんだよ。一番眠い時にご丁寧に耳元で鳴ってきやがって。』

目覚ましはどこだ、とぼんやりとする視界の中布団のあたりを手探りで探す…あれ、無いや。

「もう九時ですよ。いい加減に起きないとまた委員長がちひろさんを置いてってしまいますけど、それでいいんですか…あと目覚まし時計は貴方の一撃で壊れましたからね。」
『あ、本当だ!!壊れかけのレディオじゃなくてkowarekakeno mezamashiになってる!!』
「ご飯食べるのなら顔を洗ってきてからにしてくださいね。」
『んだと?!そんなに私の顔が汚いか!!そんなに醜いのか?!』
「いや、目を覚ましてきて下さいよ。」

眠たい目をこすりながら、(顔を洗わずに)ダイニングへと直行すれば…おや、珍しい。

『ひばりんもお寝坊かい?』
「うるさいよ。」

同じようにちょっと眠たそうに目をこすりながらも、味噌汁を手に持つヒバリ。
寝不足なのにしっかりと私の家に来るということは…だめだ、眠くて頭が回らない。

それにしても、どうしたよその傷。
ヒバリの並の上あたりの顔には掠ったような生傷が至る所にある。

「並の並の顔がよく言うよ。さすが並のつく土地の主だね」

うるせーよ、並のつく中学校を支配しているチキンボーイが。

『今日はあのまつ毛は来るの?』

まつ毛、と聞いて首をひねるヒバリ。

『アレだよ、昨日来てた金髪。』
「ああ、跳ね馬の事」

跳ね馬…ムカつくからまつ毛でいいんじゃねーのか、と思う私は天才かもしれない。やったね!!

おっ、今日のご飯はアレだな、この前ママンが買ってきたっていう新米のお米だな!!
いやーさすが、味が違うわ!!

「もちろん、まだあの人のことを咬み殺してないからね。」

おや、なかなかやる気に満ち溢れているね。

『じゃあ私も一発殺りに…じゃねーや、戦ってみようかな』
「いいんじゃない、運動になるよ」

ただ、いつかの体育祭の時みたいにバックドロップをして気を失うのは止めて欲しい、と彼は言う。

フッ、残念だったなヒバリンよ。私は昨日、新しい技を厳しい修行によって取得したのだ!!
この前の私とは一味違うぜ!!

ほかほかとした温かい海老フライをパクリ、と一口噛めば、肉汁がジュワァァァっと…ん?肉汁?

『あ、これ海老フライじゃなくてトンカツだったァァァァァ!!』
「ばかだねちひろ、見ればわかるじゃないか。」
『そうだね!!てめーの姿を見たら凄くよくわかった!!』

うまそうに食いやがって…オイ口から赤い尻尾が見えてんぞ。
私がリクエストしたご飯を…朝食を取られて超ショックみたいな。

「うん、ごちそうさま。」
『ハイハイごっそーさん。学校行ったら跳ね馬をヒバリの次に狩らせてくれよな。打倒跳ね馬!!奴の金色を追いはぎしてやるぜ!!』
「幣、持って行きなよ。」

僕はこれ、といつもながら常備しているトンファーをカチャリと取り出すヒバリ。
そんな頼もしい彼に私はにやりと笑うのだった。

『あいあいさー!!』

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